マンションの機械式駐車場のメリットやデメリットは?問題点や仕組みなど

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マンションでは多くの機械式駐車場が使われています。

 

機械式駐車場は敷地が狭くても、駐車場台数を多く確保できるため、都市圏のマンションでは多く使われています。

 

この記事では、そんなマンションの機械式駐車場に関する論点をピックアップしてまとめてみました。

 

 

1.マンションで用いられる機械式駐車場の仕組み

 

 

そもそも機械式駐車場とは何でしょうか。

この「機械式」とは、駐車場所までの移動を機械で行う、という意味です。

自分で駐車場所まで走行する場合は、「自走式」の駐車場と言います。

 

機械式駐車場は、都心のような限られた土地においても、駐車台数を増やすことができるため、昭和50年代頃から、居住用のマンションでも機械式駐車場が利用され始めています。

 

機械式駐車場の種類は、以下の大きく2種類あります。

 

・上下にのみ動くタイプ
・上下左右に動くタイプ

 

そして、上下左右に動くタイプは収容台数や使い勝手は良いのですが、上下にのみ動くタイプに比べて、メンテナンス費用が嵩むというデメリットがあります。

 

 

また、それぞれのタイプには、地上や地下、構造に応じて以下のものがあります。

 

【上下にのみ動くタイプ】
・地上二段式
・ピット二段式

 

【上下左右に動くタイプ】
・昇降横行式
・垂直循環方式
・エレベーター方式

 

 

 

 

 

 

2.機械式駐車場の部品

 

 

機械式駐車場の部品には、主に動力部分、安全装置、制御基板等に分けられます。

そして、各部品ごとに耐用年数は様々です。

(また、各メーカーにより様々です。)

 

 

ここでは、私のマンションで実際に取得した、機械式駐車場の長期修繕計画に記載されている耐用年数をもとに、分類を行っていくと、

 

耐用年数が5年、7年、10年の3分類ができます。

落下防止装置
基盤
操作パネル 等

の制御基盤等は、一般に耐用年数が5年程度です。

 

スプロケット
パワーサプライ
漏電ブレーカー

などは耐用年数が7年程度で、大きな部品となります。また、設置個数も多いものもあり、交換する個数によっては、工事総額が高くなります。

 

モーター
ローラーチェーン

などは、機械式駐車場が作動するうえで、重要な部分であり、一般には耐用年数は10年としているメーカーは多いようです。
ただし、実際には、15年~20年くらいで交換等を行っているマンションが多いようです。

 

 

 

 

3.マンションにおける機械式駐車場の問題

 

 

「国土交通省・マンション総合調査」(平成25年度)によれば、都心では約40%ほどのマンションに機械式駐車場があるそうです。

 

多くのマンションで使用されている機械式駐車場ですが、「金食い虫」という異名も付けられるほど、問題となることも多いです。

 

例えば、高額なメンテナンス費用が挙げられます。

これは、大規模修繕1回分に匹敵するほどの金額となることがあります。

 

 

また、そのような高額なメンテナンス費用が、マンションの長期修繕計画に含まれていない場合があるのです。

 

これは、つまり、資金計画の破綻に発展する可能性がある、ということです。

 

一般的に長期修繕計画は30〜35年周期で作成され、向こう30年の修繕計画に合わせて、積立金を値上げしたりして、準備をします。

 

ところが、このような長期修繕計画に、機械式駐車場の維持・更新に掛かる費用が計上されていないマンションがあります。

(実際に、私のマンションも計上されていませんでした。)

 

長期修繕計画に従って修繕積立金を値上げしても、機械式駐車場分の工事費は借金しなければならないことになります。

 

また、仮に機械式駐車場部分の長期修繕計画があったとしても、信用ならないことがほとんどです。

 

あくまで、将来の計画などの話し合いを行うための材料とするなら良いのですが、工事金額などを鵜呑みにしては絶対にいけません。

 

もし、どう考えても、機械式駐車場の部品交換や更新費用が足りないような場合、どうすれば良いのでしょうか。

 

そういった場合は、機械式駐車場を全部、あるいは一部撤去して平置きに変えるという方法があります。

 

もし、機械式駐車場の空きが多いような場合、平置き化にすることで、無駄なメンテナンス費用を節約することができますが、このようなことを考えなくてはいけないことが、問題だと思います。

 

さらに、法律上の問題もあります。

 

マンションを建築する場合、自治体から条例に基づき、最低限の駐車場台数を設置する義務が課せられていることがあります。
(駐車場附置義務、と言います。)

 

もし、駐車場附置義務の設置台数ギリギリだった場合、1台でも駐車場を潰せば付置義務を満たさなくなり、建築基準法違反になってしまいます。

機械式駐車場の平置き化や廃止する場合、この駐車場附置義務についても、注意するようにしましょう。

 

マンションにおける機械式駐車場の問題点の最後として、駐車場使用料は一体何に使われているのか分からない場合があることです。

つまり、駐車場使用料が、キチンと駐車場のメンテナンスに使われているかどうか、チェックしましょう。

 

その原因は、管理規約にもあるようです。

知人のマンションでは、管理規約上、駐車場使用料は「管理費」に充当されるようになっていたらしいです。

 

 

 

 

 

 

4.マンションの機械式駐車場の価格

 

 

まずはマンションが新築され、機械式駐車場が設置されます。

この段階では、デベロッパーが機械式駐車場のコストを負担します。

 

そして、入居が始まり、機械式駐車場が利用され始めます。

この段階では、通常の定期点検とメンテナンスが行われ、継続的な費用が発生します。

 

また、5年、6年と使っていくうちに、故障する部品の交換を続けているうちに、「寿命」、つまり「耐用年数」が到来します。

耐用年数が到来した機械式駐車場は、選択を迫られます。

 

それは、
「更新」(リニューアル)
するのか、
「撤去」
するのか、
「停止」
するのか、という選択です。
そして、それぞれ更新費や撤去費等が発生します。

 

機械式駐車場の価格が、直接関係してくる段階は、「更新」(リニューアル)の段階です。

つまり、20~30年後に機械式駐車場を新品と入れ替える際に、価格が関係してきます。

 

問題なのは、この機会式駐車場の価格が、総入れ替えをした場合、大規模修繕工事に匹敵するほどの高額な金額となることです。

 

 

 

 

 

5.機械式駐車場の耐用年数とマンションの長期修繕計画

 

 

機械式駐車場もエレベーターも、建物自体ではなく、設備という点で共通していますが、

 

法律上の規制がかかるか、かからないか

 

という点で大きく異なります。

 

エレベーターは建築基準法の適用を受けるため、定期点検が「義務」となっています。

 

しかし、機械式駐車場は建築基準法の適用を受けません。また、駐車場法という法律の適用も受けません。

 

すなわち、機械式駐車場の各部品の耐用年数や長期修繕計画は、各メーカーやメンテナンス業者等の独自色が色濃く出るものである、と言えます。

 

業者(管理会社またはメンテナンス業者)の提案をそのまま受け入れず、管理組合自体が十分にチェックした場合、耐用年数を経過しても修繕費用を抑制できている実績があるそうです。

 

右から左に業者の言うことに従うのはヤメましょう。

 

 

 

 

 

 

6.マンション内での機械式駐車場の事故

 

 

機械式駐車場は、商業施設や事務所ビルだけでなく、共同住宅にも多くの機械式駐車場が設置されています。

 

これらの機械式立体駐車場で、人が挟まれるなどして大けがをしたり、亡くなったりする事故が発生しています。

 

政府広報オンラインによると、2007年度から2013年度までの7年間で、発生場所を確認できた事故145件のうち約40%が、共同住宅の機械式駐車場で発生しているとのことです。

 

中には死亡事故に発展してしまったケースもあります。

 

業者の安全点検や、安全対策の住民への周知など、事故を発生させない取り組みが求められています。

 

 

 

 

 

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