マンションは、通常、人口密度が高い地域に建設されます。
ですから、限られた土地を有効に利用するために、立体駐車場が利用されています。
特に機械式駐車場は多くのマンションで使われています。
ところが、この機械式駐車場は「金食い虫」とも言われています。
一体、機械式駐車場の価格はどのくらいなのでしょうか。
目次
1.機械式駐車場の費用には何がある?価格はどの段階で使う?
機械式駐車場の価格が、直接関係してくる段階は、「更新」(リニューアル)の段階です。
つまり、20~30年後に機械式駐車場を新品と入れ替える際に、価格が関係してきます。
そもそも、機械式駐車場の費用には何があるのでしょうか。
マンションが建築される流れから考えます。
まずはマンションが新築され、機械式駐車場が設置されます。
この段階では、デベロッパーが機械式駐車場のコストを負担します。
そして、入居が始まり、機械式駐車場が利用され始めます。
この段階では、通常の定期点検とメンテナンスが行われ、継続的な費用が発生します。
また、5年、6年と使っていくうちに、故障する部品も出てきます。
このような時は、メンテナンス契約にもよりますが、劣化部分の交換費用が発生します。
そして、そのような劣化部分の交換を続けていても、いずれやってくるのが「寿命」です。
「耐用年数」とも呼ばれます。
耐用年数が到来した機械式駐車場は、選択を迫られます。
それは、
「更新」(リニューアル)
するのか、
「撤去」
するのか、
「停止」
するのか、という選択です。
そして、それぞれ更新費や撤去費等が発生します。
この時、「更新」(リニューアル)するための、入れ替える機械式駐車場の費用が、価格というわけです。
2.機械式駐車場の「更新」(リニューアル)について
機械式駐車場は設備も大きく存在感があります。
その分、リニューアル費用も多額になります。
(だから、「金食い虫」と言われています。)
リニューアルの方法にはいくつか種類があります。
例えば、既存のピットと呼ばれるくぼみ(機械式駐車場が設置してある場所)をそのままにして、新たな設備を入れ替える場合があります。
または、このピット自体を一度取壊し、もっと大きな車が入れるように掘りなおすことも考えられます。
グレードアップや、収容台数を増やす工事などは、一般的なリニューアルよりもさらに費用がかかります。
では、リニューアル等の種類別に、目安の金額を記載していきます。
(地下ピット式機械式駐車場を例とした場合です。(財)駐車場整備推進機構が実施したアンケート結果を参考としています。)
3.既存の設備と同等の機械式駐車場設備への取り換え
耐用年数(一般にては20~30年程度)が経過した後に、機械式駐車場の設備そのものを入れ替える場合です。
地下ピットは既存のものを使用します。
(つまり、新設の場合と比べると、地下ピットの掘削費用が不要になります。)
その場合の費用は、車1台当たり、
100〜150万円/台
が相場です。
つまり、機械式駐車場が30台あるマンションであれば、
耐用年数満了後の入れ替えに、
3,000〜4,500万円が必要となる、ということです。
4.既存のサイズより大型の機械式駐車場へ入れ替える場合
耐用年数(一般にては20~30年程度)が経過した後に、機械式駐車場の設備だけでなく、地下ピットも大型化する工事を行う場合です。
地下ピットは既存のものを取り壊し、さらに広げる(大型化する)工事をします。
(つまり、既存ピットをそのまま使用する場合と比べると、地下ピットの取り壊し及び改修費用が必要になります。)
その場合の費用は、車1台当たり、
200〜250万円/台
が相場です。
つまり、機械式駐車場が30台あるマンションであれば、
耐用年数満了後の入れ替えに、
6,000〜7,500万円が必要となる、ということです。
後ほど説明する、新たに機械式駐車場を設置する工事よりも割高な傾向があります。
5.機械式駐車場を廃止して、平置駐車場にする場合
耐用年数(一般に20~30年程度)が経過した後に、機械式駐車場の設備を撤去して、地下ピットを埋め戻し、平置の駐車場にする場合です。
既存の機械式駐車場を撤去して、地下ピットは埋めて平面にします。
(つまり、既存ピットをそのまま使用する場合と比べると、設備の撤去費用と地下ピットを埋める費用が必要になります。)
その場合の費用は、車1台当たり、
180〜230万円/台
が相場です。
つまり、機械式駐車場が30台あるマンションであれば、
耐用年数満了後の入れ替えに、
5,400〜6,900万円が必要となる、ということです。
6.平置駐車場に地下ピットを作り、機械式駐車場を新設する場合
今までとは反対に、機械式駐車場がなかったパターンです。
この場合は、平置の駐車場だった場所に地下ピットを掘削し、機械式駐車場を新たに設置します。
(つまり、今までの更新の場合と比べると、地下ピット掘削及び設備の新設のための費用が必要になります。)
その場合の費用は、車1台当たり、
150〜200万円/台
が相場です。
つまり、機械式駐車場が30台あるマンションであれば、
耐用年数満了後の入れ替えに、
4,500〜6,000万円が必要となる、ということです。
7.まとめ
いかがだったでしょうか。
機械式駐車場の価格と言っても、
入替え
大型化して入替
廃止
新設
などの工事方法により、必要な工事費が異なってきます。
それは、地下ピットの掘削費用だったり改修費用などです。
また、機械式駐車場の更新費用は、例え既存の地下ピットを活用したとしても、1回分の大規模修繕工事費に匹敵するほど、高額になります。
このため、廃止検討するマンションもあると聞きますが、ほかにもリースなどの方法もあるようです。
「金食い虫」と言われる機械式駐車場ですが、狭い土地を有効活用してくれることは事実です。
将来の費用と、本当に必要かどうかの見極めを、真剣に考えることが重要です。
上記に記載してきた価格幅はあくまで目安です。
実際の更新の際には、複数の業者から相見積を取得するようにしましょう。