機械式駐車場の長期修繕計画とは?計画通りに工事しなければいけないのか?

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「長期修繕計画」という言葉をご存知ですか。

マンションには、修繕積立金を原資とする将来の大規模修繕工事に関する計画である「長期修繕計画」が策定されることが通常です。

 

しかい、機械式駐車場については、別途、長期修繕計画が存在することもあれば、計画自体がない場合もあります。

この記事では、マンションの「金食い虫」と呼ばれる機械式駐車場の長期修繕計画について、解説しています。

 

 

 

 

 

1.機械式駐車場の長期修繕計画

 

 

機械式駐車場にも、長期修繕計画があります。

 

保全計画とも言うそうです。

 

通常は、長期修繕計画の単独での作成は受注していません。

定期的なメンテナンス契約とセットで作成してもらうのが普通です。

 

 

また、作成期間はメンテナンス契約締結後から、半年〜1年程度の期間が必要となるところもあるようです。

 

いずれにしても、現在のメンテナンス業者と相見積を取って、検討するようにしましょう。

 

 

2.長期修繕計画における交換・更新時期

 

 

機械式駐車場の長期修繕計画において、部品の交換時期や更新時期はどのように決められるのでしょうか。

 

機械式駐車場の耐用年数は減価償却資産として15年と定められています。

しかし、それはあくまで「法定」なのであって、実際の機械式駐車場の装置自体の全面的な取替えは、約25〜30年程度で行われることが多いです。

 

実際、私のマンションでも、耐用年数の終了前に、メーカーが見積とともに長期修繕計画を出してきました。

 

ところが、特に何も故障などが起きませんでした。

 

数年後、しびれを切らしたメーカーと管理会社が、「優先修繕事項」として、再び見積を上げてきました。

 

そうなんです。

 

業者にもよりますが、基本、長期修繕計画は「目安」です。

 

焦って工事を発注してしまわないように注意しましょう。

 

 

マンション管理士会の研究会にて作成報告された資料として、こちらのリンクで、考えが述べられています。

 

上記資料によれば、年々、更新費用は安くなってきているとのことです。

(以前は1パレット150~250万円程度だった更新費用が、1パレット50~80万円台に安くなってきている話もある、とのことです。)

 

また、そのことが原因で、長期修繕計画に従い、

 

計画的に部品交換を行い耐用年数(25年)以上使用した場合の費用よりも

 

壊れてから直す方法(事後修繕)により必要最低限の部品交換で耐用年数満了時点(約25年)で全て更新した方が経済的である

 

との考えも述べられており、非常に参考になります。

 

 

 

 

 

 

3.機械式駐車場とエレベーターの違い

 

 

機械式駐車場もエレベーターも、建物自体ではなく、設備という点で共通しています。

 

しかし、明らかに異なる点があります。

 

それは、

 

法律上の規制がかかるか、かからないか

 

ということです。

 

 

エレベーターは建築基準法の適用を受けるため、定期点検が「義務」となっています。

また、構造上の技術的な基準等も法律の規制を受けます。

 

 

しかし、機械式駐車場は建築基準法の適用を受けません。また、駐車場法という法律の適用も受けません。

従って、機械式駐車場には定期点検の義務がありません。

また、構造上の技術的な基準等も、各メーカー任せになっています。

 

すなわち、機械式駐車場の長期修繕計画はなおさら、各メーカーやメンテナンス業者等の独自色が色濃く出るものである、と言えます。

 

 

4.工事を判断するのは誰か?

 

 

これは、当然ながら管理組合が自分達で工事実施するか否かを判断しなければなりません。

 

機械式駐車場のメンテナンス方式には、主に2種類あります。

 

部品交換を含めたメンテナンス契約(フルメンテナンス方式)

 

それとも、

 

部分的なメンテナンスのみで部品交換は契約に含まれない方式(POG方式)

 

です。

 

 

エレベーターとは異なり、部品交換時期の予測は難しいため、機械式駐車場のメンテナンスでは、POG方式が主流となっています。

 

これはつまり、長期修繕計画が存在していても、工事の判断主体である管理組合の組合員(つまり、住民です。)自身が、主な部品の種類や機能等を勉強しなければ、適切な工事実施の判断ができない、ということです。

 

長期修繕計画を作成してくる業者は、通常、メンテナンスも行っているため、定期点検結果等と合わせて、工事見積を提出してきます。

ただ、点検結果に基づき工事見積を提出した段階で業者は責任から解放されます。

つまり、最終的な責任は、やはり工事実施の判断主体である管理組合に押し付けられる、というわけです。

 

 

5.長期修繕計画の通りに修繕した方が良いのか?壊れてから治す事後修繕の方が良いのか?

 

 

結論から言えば、機械式駐車場については、

 

壊れてから直す(事後修繕)

 

という方法が良さそうです。

(つまり、分かりやすく言えば、長期修繕計画は無視する、ということです。)

 

マンション管理士会の研究会にて作成報告された資料として、左記のリンクで、考えが述べられています。

 

上記の資料では、

 

業者(管理会社またはメンテナンス業者)の提案をそのまま受け入れず、管理組合自体が十分にチェックした結果

 

耐用年数を経過しても修繕費用を抑制できている

 

と記載されています。

 

 

主な内容は以下の通りです。

 

・耐用年数を超える16~17年目における修繕費用合計(鉄部塗装は除く)が、

約27,000円/台 ~ 約46,000円/台
(総額では、約150~240万円)

に修繕費用が抑えられている。

 

・エレベーターのように人が乗る設備と、人が乗って動かない機械式駐車場においては、人命危険度の観点から修繕の考え方も異なる。

 

・調査結果より、機械式駐車場については、壊れてから治す事後修繕で足りるものであることが判断できる。

 

・故障中は使用できないことによる利便性の低下が懸念されるものの、事後修繕により修繕費用の大幅な抑制が可能となる。

 

 

6.まとめ

 

いかがだったでしょうか。

マンションだけでなく、機械式駐車場にも長期修繕計画があります。

 

しかし、内容及びその性格は全く異なるものです。

 

まず、同じ設備であるエレベーターと比べると、人命危険度の観点から修繕に対する考え方が異なること。

そのため、長期修繕計画に基づく計画的な修繕よりも、壊れてから直す、という事後修繕という考え方が採用できること。

また、実際に、事後修繕の方が、修繕費用を抑制できている、という結果が出ていること。

 

私のマンションも、メーカーによる長期修繕計画が、故障しないまま、ずっと後ろに年数がズレていくだけの、何が何やら分からない計画でした。

それでも、管理会社及びメーカーは、

 

人命にかかわります

 

と言って、脅してくるかもしれません。

 

言いなりにならないように、管理組合の組合員自身も、機械式駐車場の各部品等について、知識をつけておくべきなのです。

 

 

 

 

 

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