機械式駐車場での事故とは?事故情報を調べて気を付ける

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機械式立体駐車場は、土地が限られた都心などでは、狭い土地でも駐車場台数を多く確保できることから、広く普及しています。

一方で、事故などの発生もあると聞きます。

機械式駐車場の事故にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

 

1.事故の発生件数などは?

 

機械式駐車場は、日本全国で約54万基あり、自動車1台分にすると、約287万台分があるそうです。(平成25年3月時点)

また、商業施設や事務所ビルだけでなく、共同住宅にも多くの機械式駐車場が設置されています。

 

これらの機械式立体駐車場で、人が挟まれるなどして大けがをしたり、亡くなったりする事故が発生しています。

 

政府広報オンラインによると、2007年度から2013年度までの7年間で、

 

207件の事故が発生し、

 

うち10件が死亡事故、16件では重傷者が出ているようです。

 

また、発生場所を確認できた事故145件のうち約40%が、共同住宅の機械式駐車場で発生しているとのことです。

(出典:政府広報オンラインホームページ)

 

 

2.事故の原因は?

 

 

同じく政府広報オンラインでは、2つの事故事例が紹介されています。

 

どちらの事例にも共通して指摘されていることは、

 

・幼児が事故にあっている
・機械式駐車場設備自体に幼児同伴時の安全策がないこと
・緊急時の取扱を利用者が理解していないこと

 

が挙げられています。

 

共同住宅では、当然のことながら小さい子供を連れた家族が機械式駐車場を利用することが想定されます。

また、機械式駐車場は入出庫の操作の際に時間がかかるため、その間、小さい子供が設備の中に入り込んでしまうことも考えられます。

 

 

今後、このような幼児や緊急時の安全策などが、しっかりと対応されていくことが望まれますが、まず、幼児が巻き込まれる事故が発生していることを自覚し、操作時には十分気を付けることが重要です。

 

 

3.機械式立体駐車場の事故情報

 

 

機械式駐車場が普及するきっかけは、商業施設でした。

したがって、取扱に関して知識を有する商業施設等の専任操作員などが操作することが前提として設計されていました。

しかし、先ほど挙げた共同住宅の事故などでは、緊急時の対応等に十分な知識のない利用者が操作しています。

このような設計・製造の段階の前提と、実際の利用段階でのズレが、事故発生の原因の一つと指摘されています。

 

では、事故の内容などを把握して、利用者自身で対策をたてることは可能でしょうか。

国土交通省ホームページでは、機械式立体駐車場における事故の再発防止を図るため、立体駐車場工業会からの報告等に基づき、これまでに発生した重大事故の情報提供が行われています。

街路・連立・新交通:機械式立体駐車場の事故情報 - 国土交通省
国土交通省のウェブサイトです。政策、報道発表資料、統計情報、各種申請手続きに関する情報などを掲載しています。

 

そして、毎年度ごとに、事故の発生日、被災者、事故概要等の情報提供が行われています。

 

 

4.国土交通省導入したチェックリスト

 

 

これまで記載してきたように、機械式駐車場の普及に伴い、利用者が機械に挟まれ死亡するなどの事故が発生しています。

 

機械式駐車場の部品等の劣化が原因となる事故は確認できませんが、こちらは設備自体に安全装置などがあるため、設備の不具合による事故ではなく、操作する人や周囲の人の不注意などが、事故の原因となるようです。

 

このような事故等をうけ、機械式駐車場の安全点検を強化する要請がされてきました。

実は、機械式駐車場には法的な点検義務がありません。

(エレベーターは、建築基準法により定期検査が義務付けられています。)

 

したがって、安くない点検・メンテナンス費用を負担して、定期的な点検を実施するかどうかは、共同住宅の場合であれば、管理組合が決める事項とされています。

 

定期点検は、点検業者との委託契約が結ばれるのが一般的です。

ただし、先ほど記載したように、法定の義務がないことなどから、点検項目や頻度などは、統一されておらず、点検の精度にも業者ごとにばらつきがあるのが実情のようです。

 

このような現状を受け、国土交通省では、点検業者選定の目安となる指針案を作成し、公表しました。

 

「機械式駐車設備の適切な維持管理に関する指針案」

 

 

この指針案には、各装置装置ごと(安全装置や遠隔監視、搬送台車など)に200に及ぶ点検項目が記載されています。

 

また、点検実施の頻度に関する目安も記載されています。

 

同指針によれば、事故防止において重要な装置については、1~2か月ごとに作動状況を確認するように記載されています。

(人感センサーや非常停止ボタン、警報などの安全設備)

 

 

5.まとめ

 

 

いかがだったでしょうか。

 

機械式駐車場は共同住宅の長期修繕計画を考えるうえで、「金食い虫」と言われているほど、メンテナンス等に費用が嵩む設備です。

 

にも拘わらず、エレベーターと異なり法定点検の義務はなく、点検業者ごとのサービスも不均一なのが実情です。

 

また、利用者に対する十分な指導等がなされない結果、死亡事故や重傷事故などが発生しています。

 

そのような背景から、機械式駐車場を平置化したり、駐輪場に変更したりするマンションもあるようです。

今後、機械式駐車場を取り扱う業者に期待することは、利用者目線に立ったメンテナンス計画の立案や、死亡事故を発生させないようなきめ細かいサービス・点検等ではないでしょうか。

 

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