株式投資や不動産への直接投資には、それぞれメリットがあります。
では、それらの中間の性格を持つと言われているJリートについては、どのようなメリットがあるのでしょうか。
目次
1.Jリートのメリットとは?
Jリートは、
ミドルリスク・ミドルリターン
と、良く言われます。
それは、他の投資方法である
株式投資
と
不動産投資
(直接不動産を購入する方法)
と比較した場合です。
それぞれと比較したメリットには、次のようなものがあります。
株式投資と比較したメリット
・収益がほとんど分配される
・高水準な分配金利回り
不動産投資と比較したメリット
・少額から投資可能
・分散投資が可能
・換金性が高い
・運用は専門家任せ
以下、それぞれのメリットの詳細を記載していきます。
2.株式投資と比べたメリット
2-1.収益がほとんど分配される仕組み
J-REITは、利益のほとんど(少なくとも90%超)を投資家に分配する仕組みになっています。
このため、実際の不動産に直接投資した場合と同程度の収益を毎期の分配金として受け取ることが可能です。
(株式の配当金のことを、Jリートでは分配金と呼びます。)
リートの分配金の特徴として、
税金などの余分なものが引かれない
ということが挙げられます。
リートとは、
自分のお金を
プロが
不動産投資によって
増やしてくれる
という仕組みのことです。
そして、プロが増やしてくれた成果として受け取るお金を、
分配金
と言います。
分配金は決算時に支払われます。
リートの決算とは、リートの半年間の運用成果を確定することです。
(1年単位で行うリートもあります。)
一般的な株式会社などでは、会社の利益の一部として、配当金が投資家(株主)に対して支払われます。
ただし、その配当金は利益をまるまる支払われるのではなく、法人税などの税金と「内部留保」と呼ばれる利益の溜め込み部分を除いた残りから支払われます。
この点でJリートは
収益の90%超を分配すれば法人税が実質かからない
さらに、
仕組み上、内部留保ができないので実際には利益のほぼ100%近くが分配される
という点で株式投資とは異なります。
このような意味で、リートの分配金は、
収益がほとんど分配される仕組み
になっているのです。
2-2.分配金利回りが高い
Jリートの分配金利回りは、つぎのような計算式により算出されています。
分配金利回り=年間の予想分配金÷投資額
Jリートでは、先ほど説明したように、不動産から生まれる賃料収入などに基づく収益が、ほぼ投資家に分配金として分配されるので、不動産に直接投資している時と同じようなリターンを得ることができます。
つまり、分配金利回りは、不動産投資で使われるキャップレートとほぼイコールと考えられます。
(グロス利回りではありませんので、注意して下さい。)
こちらのグラフを見て下さい。
(出典:J-REIT.jp)
長期金利、株式配当利回り、Jリートの分配金利回りの推移が示されています。
マイナス金利政策の影響などで、株式配当利回りは最近では2%前後で推移しているのに対して、分配金利回りは4%前後で推移しています。
普通預金の金利が1%を下回っている状態を考えれば、非常に高い利回りと言えます。
一方で、不動産に直接投資した場合の利回りは、都心の好立地にあるワンルームマンションなどは5%程度の場合もあるので、不動産への直接投資に比べれば、Jリートのリターンはやや低いと言えます。
3.不動産投資と比べたメリット
3-1.少額から投資が不動産への投資が可能
一般的に、不動産へ直接投資するためには、多額の資金が必要になります。
例えば、中古のワンルームマンションの場合でも数百万円、立地が良ければ1〜2千万程度はするかもしれません。
一般のサラリーマンが不動産へ直接投資する場合には、必ずといって良いほど、ローンが組まれます。
一方、Jリートの場合、ローンを組む必要なく、数十万円程度の少額から、投資することができます。
3-2.複数の不動産への分散投資が可能
多くの投資家から資金を集め、大きな資金として運用するJ-REITでは、個人では難しい、複数の不動産への分散投資が可能になります。これにより、リスクを軽減することができます。
リスクを抑えて、安定して投資による利益を得るためには、分散投資が基本とされています。
最も身近な分散投資としては、
銀行への預金
株式投資
不動産投資
の3つがイメージされやすいものです。
例えば、株式投資が調子悪くても、不動産投資で取り返したり、その逆のパターンもあるなど、いくつかのリスクが異なる金融商品にバランスよく投資をすることで、致命的な損失を回避するため、分散投資は行われます。
かつて、Jリートが出来るまでは、不動産は一般的なサラリーマン投資家には、なかなか手が出せないものでした。
しかし、Jリートの登場により、自己の資金を、預金や株式のほかに、不動産としても分配して投資することがし易くなりました。
今後も、各投資家の分散投資先の一つとして、Jリートは主要な位置を占めるものと思われます。
3-3.専門家に運用してもらえる
一般の不動産への直接投資の場合、テナント募集や費用支払い、賃料徴収などを自分で行わなくてはいけません。
もし、外部業者に委託する場合、少なくとも数十万円単位で費用が発生します。
一方、Jリートは、不動産投資の経験豊富なプロが運用を担当しているため、一般の不動産へ直接投資する場合のような物件の維持管理やテナント管理等の手間や、それらを業者委託した場合の費用がかかりません。
さらに、一般の不動産への直接投資では、売り時や買い時の判断をしなくてはいけませんが、Jリートの場合は、プロが適切な判断のもと、不動産の売買を実施してくれます。
3-4.流動性が高く、換金し易い
一般の不動産は、購入しようと思った場合、詳細調査から現地調査、ローンの手配など、やることが実に多いです。
また、売却しようと思った場合でも、広告などを出してすぐに売れるか、と言えばそうではありません。
ある程度、複数の購入希望者による価格検討などがなされて、価格や契約条件面での交渉などがなされた後に、ようやく売買契約、ということで、手間が非常にかかります。
特にサラリーマン投資家などは、専門知識もないので、自分自身で売買を完結させることは難しいでしょう。
一方、Jリートは証券取引所に上場されているので、いつでも売買が可能です。
ですから、買いたい時に買い、売りたい時に売れるわけです。
4.まとめ
いかがだったでしょうか。
Jリートはミドルリスク・ミドルリターンと言われますが、株式投資や不動産への直接投資と比較すると、その意味が分かりやすくなります。
また、Jリート自体のメリットについても、それぞれ株式投資と比べた場合、不動産への直接投資と比べた場合とで整理して、よく理解しておくことが重要です。
Jリートのメリットを良く理解して、今後の分散投資先として活用できるようにしましょう。