jリートと空室率の関係は?空室率が影響する用途は何か?

不動産投資
Pexels / Pixabay

 

空室率は、Jリートのインデックスと深い関係にあると言われています。

 

空室率が変動することにより、Jリートにどのような影響があるのか。

 

この記事では、Jリートと空室率の関係をまとめてみました。

 

 

1.Jリートと空室率は関係が深い

 

 

Jリートの分配金は、賃料収入が原資となっています。

 

そして、オフィスビルで空室部分がある場合、その分の賃料収入を得ることができていないことになります。

 

そして、分配金は、その空室率の影響を受けて、満室稼働だった場合よりも少なくなります。

 

つまり、一般の不動産投資と同じく、Jリートでも空室率は分配金を通して、投資家の収入に直接影響するのです。

 

 

2.空室率が強く影響する用途は?

 

 

Jリートは、不動産投資信託です。

 

投資のプロが、その時々の状況を見て、様々な用途に対して分散して投資し、お金を増やしてくれます。

 

 

Jリートの主な用途は以下の6種類です。

 

住居
オフィスビル
商業施設
物流施設
ヘルスケア
ホテル

 

このうち、空室率が強く影響する用途はどれでしょうか?

 

 

 

 

 

 

6つ全てに、空室率が影響するようにも思えますが、そうではありません。

 

 

商業施設やホテル、ヘルスケアは、稼働率によって売上が変動しますが、それにより賃料収入が不安定になることを嫌い、長期の固定賃料での契約がされることが多いです。

 

また、物流施設はテナントの数が少なく、1テナント(シングルテナント)か、もしくは2〜3の少数テナントの施設が多いため、空室=ガラガラ、ということとなり、影響どころが大騒ぎになります。

そのため、空室が発生する前にテナントから事前に通知されるような契約となっていて、解約までの期間に次のテナントを探すことが一般的であるため、空室はあまり発生しない、と考えられます。

 

 

住居については、空室率は関係してきますが、1・2部屋が空室になったからといって、空室率はそこまで上下しません。
また、そもそも賃貸需要のある立地に所在しているはずなので、大幅に空室率が低下する、という事態は考えにくいです。

 

となると、残りはオフィスなのですが、オフィスの場合、空室率は非常に重要な指標となります。

 

なぜなら、後ほど説明しますが、空室率は都心再開発の影響を強く受けるのですが、Jリートの保有不動産の約7割が、再開発が頻繁に行われている東京に所在しているからです。

また、Jリート保有不動産の約4割がオフィスビルであるため、空室率による賃料収入減少の影響は、Jリート全体の分配金に強く影響を与えます。

 

そのため、Jリートでは、オフィスビルの空室率に注意しなければなりません。

 

 

3.オフィスビルの空室率の推移は?

 

 

では、オフィスビルの空室率はどのように推移しているのでしょうか。

 

東京の場合、景気回復などを背景として、空室率は低下傾向にあります。

 

この記事を執筆時点では、企業の本社機能の統合や移転、拡張が積極的に行われている、ということで、都心5区オフィスビル平均空室率は2% 割れの水準となるなど、低下傾向が続いています。

 

空室率が下がると、空室を見つけたい、少し高くても契約したい、というテナントが増え、賃料が上昇する傾向にあります。

 

空室率の低下と合わせるように、都心5区オフィスビル平均賃料は5年連続で上昇しています。

 

空室率と賃料との関係を示すものとして、空室率5%が、一つの目安とされています。

 

一般的に空室率が5%を下回ると、空室が少ない状況として認知され、貸し手側が賃料交渉などを優位に進めやすくなるとされています。

 

ですから、空室率5%を下回る現在の状況では、Jリート保有物件の賃料上昇による収益拡大、分配金の上昇が期待できるのです。

 

 

4.空室率が分配金に影響する理由

 

 

Jリートにおける投資法人は、法人税が実質無税で内部留保もできないような仕組みとなっているため、当期純利益がほぼそのまま分配金となります。

 

 

分配金のもとになる当期純利益は、

 

賃貸事業利益 ± 売却損益 – 販管費 – 支払利息 = 当期純利益

 

という計算式が成り立ちます。

 

 

上記の式の要素の中で、分配金に大きく影響を与えるのは賃貸事業利益です。

 

収入で最も大きいものは、賃料収入です。

賃料アップさせることで、分配金を上げる効果があります。

 

また、反対に、景気が悪化して空室率が高くなった場合には、賃料収入が減少して、分配金が下がるという影響があります。

 

 

5.空室率の低下と分配金

 

 

空室率が低下する。

 

つまり、

 

空いている貸室が少なくなるのです。

 

 

どうしても借りたいと思うテナントは、

 

多少賃料が高くても借ります。

 

そのようにして、だんだんと賃料が上昇していきます。

 

 

また、既に入居中のテナントに対しても同様です。

 

賃料の値上げを交渉した場合、

 

空室率が低ければ、

 

待機しているテナントが多いことが考えられます。

 

 

そのため、既に入居しているテナントが

 

賃料値上げを断って退去したとしても、

 

もしかすると、その賃料以上の賃料で

 

新しいテナントが契約してくれるかもしれないのです。

 

このように、空室率が低下することにより、賃料上昇のきっかけになるのです。

 

そして、賃料の上昇は、投資法人の当期純利益を向上させ、分配金の増配につながります。

 

 

6.空室率に影響を与える要因

 

 

では、オフィスの空室率に影響を与える要因にはどのようなものがあるのでしょうか。

 

再開発

インフラ整備

 

などが考えられますが、最も影響を及ぼすのは、新築オフィスビルの供給量です。

 

 

あまりに多くの再開発などが行われ過ぎると、オフィスビルの供給量が過剰となり、その反動で空室が大量に発生する傾向にあります。

 

最近では、2020年の東京五輪に向けて、多くの再開発が進行し、竣工をむかえていく中で、オフィスビルの供給量が過剰になる可能性が指摘され始めています。

 

「2020年問題」と言われるこの問題は、今回に限ったことではありません。

 

過去、東京では「2003年問題」「2010年問題」と、同様の供給過剰が課題が懸念されてきましたが、いずれも大幅な市況が悪化することありませんでした。

 

今回の「2020問題」も、大幅な空室率発生、不動産市場の悪化へと繋がらなければ良いのですが。

 

 

7.まとめ

 

 

いかがだったでしょうか。

 

空室率の変動は、賃料収入の増減を通じて、分配金に影響を及ぼします。

 

また、Jリート保有物件のうち、約4割を占めるオフィスビルの空室率は、Jリートの今後の動向を予測する上で、欠かせない指標です。

 

空室率の変動する原因を理解して、正確な現状把握に努めましょう。

(空室率は各投資法人のホームページで公表されています。)

 

 

タイトルとURLをコピーしました