もし、手元に「土地取引状況調査票」というものが来た方。
最近、不動産の売買をしませんでしたか?
「調査票」という名前は少し怖いですが、実は何のことはない、単なるアンケートなんてす。
目次
1.不動産の取引価格のアンケートとは?
不動産の取引価格のアンケートとは何でしょうか?
これは、国土交通省が公表している「不動産取引価格情報」のデータ元です。
このアンケートを元にして、「不動産取引価格情報」が作成され、公開されています。
アンケート回答者は、回答を通じて、不動産市場の透明化に貢献している、ということになります。
2.誰が、いつ、実施しているのか?
2-1.誰が?
調査の実施主体は、国土交通省土地鑑定委員会と国土交通省土地・建設産業局です。
実際のアンケートは、「国土交通省土地鑑定委員会」と名前の入った封筒で郵送にて送られてきます。
封筒の差出人だけでなく、中身を確認しましょう。
国土交通省によると、封筒の中身は以下のものです。(何か違ったものが入っていたら、疑いましょう。)
(2) 依頼文別紙(アンケート調査の実施及び情報の取扱いについて)
(3) 土地取引状況調査票
(4) 土地取引状況調査票【記入要領】
(5) 土地取引状況調査票(マンション等区分所有建物用)
(6) 土地取引状況調査票(マンション等区分所有建物用)【記入要領】
(7) 不動産の取引価格情報提供制度のパンフレット
(8) 返信用封筒(国土交通省土地鑑定委員会アンケート調査事務局宛)
※(3)(4)はマンション等の区分所有建物を取引された方には送付されません。
※(5)(6)はマンション等の区分所有建物を取引された方にのみ送付されます。
(出典:国土交通省HP)
2-2.いつ?
不動産取引の契約後に届きます。
アンケート調査票は、
「不動産登記の受付日」から、
通常1~2ヶ月後に、
購入者宛てに送られてきます。
3.アンケートの回答方法は?
アンケートは、不動産の「売買契約書」を見て回答するように作られています。
アンケートは以下の内容です。
・ 氏名又は法人名
・ 住居表示(借換地番号)
・契約年月日
・ 取引価格(土地・建物の内訳)
・実測面積(私道の面積)
・建物の概要
・取引の事情・利用目的
このうち、「取引価格」については、特に売買契約書に記載の金額を確認して、間違えないように記載しましょう。
「取引の事情・利用目的」も、プライバシーに関わる内容は配慮されますので、素直に回答すれば良いと思います。
4.アンケートに関するメリットとデメリット
アンケートに回答することで、デメリットやメリットはあるのでしょうか?
4-1.アンケートのデメリット
このアンケートの目的は、一言で言えば、
「適正な地価の形成のため」
ということになります。
ですから、回答後に変な勧誘の電話がかかってきたり、何か商品を勧められたり、ということは一切ありません。
アンケートの回答は義務ではないので、回答しなくても罰金などは特にありません。
ただし、期限内に回答しないと、照会状が届くようです。
プライバシーに関しても心配ありません。
アンケートの結果は、「不動産取引価格情報」としてインターネット上で公開されますが、個別物件が特定できないように配慮されています。
(具体的には、取引当事者の住所・氏名(会社名)を削除し、物件の所在地を町・大字レベルの表示にとどめるなどの方法が取られている。)
また、税金に関するアンケートではないので、課税当局に利用される、という心配もありません。
4-2.アンケートのメリット
以上の通り、特にデメリットとなるようなことはありません。
が、
逆に特にメリットもないのが実情です。
(謝礼などはありません。)
強いて言えば、アンケートを通じて、日本の不動産市場がより透明化され、グローバルな評価が高まる、ということでしょうか?
5.不動産取引価格情報とは?
そもそも、アンケートの結果が活用される「不動産取引価格情報」とは何でしょうか?
不動産取引価格情報とは、
国土交通省より公表されている、
宅地(土地、土地と建物)、中古マンション等、農地、林地の、
実際に取引された価格のことです。
国土交通省の「土地総合情報システム」では、不動産の購入者を対象としたアンケート調査に基づく情報を「取引価格情報」として公開しています。
物件の特定はできないのですが、地域で行われた取引の取引総額、土地面積、土地坪単価、建物延べ面積、構造、取引時期などの情報を確認でき、地図上からの検索も可能です。
この不動産取引情報は、不動産の取引当事者を対象としたアンケート調査の結果をもとにしており、価格の端数処理以外は、補正が行われていない、いわば「生」の情報です。
使用上の注意点としては、「生」の情報に関して、高めの売買とか、安めの売買とかが、一切の補正なしでそのまま掲載されている点です。
分析なしで、そのまま鵜呑みにすることは、極力避けた方が無難です。
(公示地価は、不動産鑑定士による分析・補正がされているため、公示地価との比較を行うことをお勧めします。「周辺の地価公示・地価調査」をクリックすれば、呼び出してくれます。)
6.まとめ
いかがだったでしょうか。
結論として、不動産の取引価格に関するアンケートは、
特にデメリットがない
ということです。
(逆にメリットもありませんが………)
なぜなら、国の公的な機関が実施している調査で、プライバシーに関しては配慮されるような仕組みになっているからです。
あえて、注意点として想定されるのは、
アンケートだと思って回答したら、実はアンケートを謳った詐欺だった
みたいなことが起きるかしれない、ということです。
封筒の中身はしっかり確認するようにしましょう。