山の不動産価格ってある?林地や山林の取引事情とは?

不動産売却
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「山」、「山林」などなど。

 

緑が生い茂る自然のイメージが溢れますが、果たして不動産としての価格はあるのでしょうか。

 

そして、いくらくらいなのでしょうか。

 

この記事では、山の不動産価格について調べたことをまとめました。

 

 

1.山を売る?山の価格?

 

 

日本の山林においては、約6割が私有林というデータがあります。

 

山林には、

 

国が所有する国有林
地方公共団体が所有する公有林
国有林と公有林以外の個人等が所有する私有林

 

があります。

 

 

果たして、山林に価格はつくのでしょうか?

 

実は、山林は47都道府県で漏れなく、売買が行われています。

また、山林を専門に扱う不動産会社も存在します。

さらに、世界的な木材価格の高騰などの影響で、山林の売買の取引件数は近年増加しています。

今後は、「CLT工法」などの木造建築も注目されていますので、山林の価格動向に注目が必要です。

 

 

つまり、山林には価格がつきます。

 

ただし、住宅地や商業地に比べると、とても安いです。

 

後ほど説明しますが、山林周辺の市街地の価格の1/10〜1/100程度と価格に大きく幅があります。

(市街地への距離が遠くなるほど、価格は安くなります。)

 

 

2.山林の価格に関する問題点

 

 

・相対的に小さい市場規模

 

山林は取引実績があり、件数も増加しているとはいえ、やはり、一般の住宅地などに比べると市場規模は小さいです。

 

特に現在では売り手よりも、買い手が少ないと言われており、このことが、価格を下げる要因とも考えられています。

 

 

・山林は種類により価格が異なる

 

山林価格は、周辺宅地の1/100程度が目安とはなりますが、樹木の種類や需要、林道や市街地への距離によっても価格が大きく変わります。

 

そういう意味で、宅地よりも相場感が掴みにくいもの、と言えます。

 

 

3.山林地域の分類と価格との関係

 

 

山林地域の分類は、

 

市街地からの距離

 

 

法律上の規制

 

という観点からの分類が考えられます。

 

 

どちらにも共通することは、将来、林地から宅地に変わる可能性が高ければ高いほど、価格も高くなる、という点です。

 

市街地からの距離に着目した地域分類は以下です。

(下にいくにつれて、市街地からの距離が離れ、価格が低くなる傾向があります。)

 

①都市近郊林地
②農村林地
③林業本場林地
④山村奥地林地

 

 

また、法律上の規制に着目した分類は以下です。(こちらも下にいくにつれて、価格が低くなる傾向があります。)

 

①市街化区域
②市街化調整区域
③非線引き区域
④準都市計画区域
⑤都市計画区域外

 

 

4.山林価格の目安

 

 

不動産はもともと個別性が強いため、全国一律の相場は形成されません。

 

山林も個別性が非常に強く、かつ、宅地に比べると取引数も少ないため、相場というものが形成されづらい環境にあります。

 

それでも、都道府県地価調査や、不動産取引価格情報などで、林地の価格や山林の売買実績が確認できるので、参考にすべきです。

 

以下は、不動産取引価格情報などから読み取れる林地の価格帯です。

(林地は個別性が強いため、参考として下さい。)

 

 

・都市近郊林地:500〜5,000円/㎡
・農村林地:100〜1,000円/㎡
・林業本場林地:30〜500/㎡
・山村奥地林地:30〜300円/㎡

 

 

全国的に取引されている山林の総額としては、数十万円から300万円程度が多い印象です。

 

また、面積も様々ですが、3,000〜5,000㎡程度が多い印象です。

 

(上記は国土交通省の不動産取引価格情報に基づく筆者の私見です。ご参考までにご覧下さい。)

 

 

5.山林価格に影響を与えるもの

 

 

山林価格に影響を与えるのは、先ほど説明した市街地までの距離だけではありません。

 

不動産鑑定評価基準によると、「林地」の「価格形成要因」としては、以下のものが記載されています。

 

1. 日照、乾湿、雨量等の状態
2. 標高、地勢等の状態
3. 土壌及び土層の状態
4. 木材の搬出、運搬等の難易
5. 管理の難易
6. 公法上及び私法上の規制、制約等

 

これらのうち、「公法上及び私法上の規制、制約等」については、特に山林価格への影響が強いので注意しましょう。

 

なぜなら、宅地化の可能性に大きく関係しているからです。

 

市街地への距離が近いほど、宅地化できる可能性が高く、山林価格が高くなる傾向があります。

 

ただし、市街地への距離が近い林地でも、宅地化を阻害する法律上の規制がかけられている場合は、山林価格は低くなります。

 

 

6.山林価格の具体的な調べ方

 

 

山林価格を調べる方法はいくつかあります。

 

まずは「一物四価」と言われる土地価格の公的指標のうち、「基準地価」では、「林地」の価格が公表されています。

 

こちらのサイトで検索できます。

標準地・基準地検索システム

 

 

同じ公的指標である「公示地価」では、林地の価格は対象外となっています。

 

また、実際に売買された取引価格については、国土交通省の不動産取引価格情報のサイトから調べることができます。

不動産取引価格情報検索

 

 

こちらの価格は、「基準地価」と違い、不動産鑑定士によるチェックが入る前の情報、つまり「生」の情報になります。

 

ですから、あまり鵜呑みにせず、参考程度にするよう心がけましょう。

 

 

 

 

 

 

 

そして、売出し中の山林価格も参考になる場合があります。

 

代表的なサイトは以下です。

・山林価格ドットコム
https://rinchi.tochi-d.com

 

 

7.まとめ

 

 

いかがだったでしょうか。

 

山林価格は、一般的な不動産以上に個別性が強く、かつ、取引件数も多くないため、相場感を場合することが難しいです。

 

そんな中でも、

 

市街地への距離
法律上の規制

 

という点に着目すれば、ある程度の価格傾向が掴めます。

 

また、公的な土地価格な指標や取引情報などを活用することもできます。

 

なるべく情報を集め、リスクを避けるように気をつけましょう。

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