実勢価格とは何でしょうか?
土地価格を調べると、「一物四価」なる用語や、さまざまな価格の定義が出てきます。
実勢価格は、果たして時価なのか、公示地価なのか、売買価格なのか・・・
あなたは分かりますか?
1.実勢価格とは?
「実勢価格」とは何でしょうか。
結論から先に言いますと、
実勢価格 = 売買価格
です。
(「≠」は異なることを示しています。つまり、実勢価格は「売買価格」と同じですが、「時価」や「公示地価」とは異なる、ということです。)
まず、「実勢価格」の定義です。
公示価格や企業の希望小売価格などに対し、実際に市場で取引される価格。
(出典:大辞林第三版)
次に、「時価」の定義です。
商品などのその時々の市場価格。
(出典:大辞林第三版)
では、なぜ「実勢価格」と「時価」は違うのでしょうか。
例えば、「公示地価」を求める際には、不動産鑑定士という専門家が、過去に実際に取引された価格を分析しており、理論的には「時価」の水準の価格になっています。
ただし、実際の不動産取引の場合は、絶対に「時価」で売買されるわけではありません。
2.「時価」(公示地価)は「定価」のイメージ
「時価」(公示地価)があっても、実際の売買価格は異なることがある。
これは、不動産以外でもそうです。
例えば、500mlのペットボトルのジュースをイメージして下さい。
あるコンビニでは、定価の150円で売っています。
少し駅から遠いドラッグストアでは、2割引きの120円で売っています。
このように、不動産という大きな買い物に限らず、100円台のジュースでも、コンビニとスーパーとドラッグストアでは価格が違うことがありますよね。
この時、「売買価格」は、あなたが駅前コンビニか、ドラッグストアのどちらで買うかを選択することによって決まります。
つまり、
強気なコンビニ
もしくは
安売りのドラッグストア
という「売主側の事情」と、
高くてもサクっと買いたい
もしくは
ちょっと歩いても節約したい
という「買主側の事情」が、マッチした価格が「売買価格」、つまり「実勢価格」なのです。
でも、各商品には「定価」があります。
分かりやすいイメージとしては、「公示地価」などの公的指標は「定価」です。
ただ、「定価」を基にして、実際にいくらで買うか、売るかは、買主と売主が話し合って決めることです。
話し合いの結果、実際に売買される価格のことを「実勢価格」と言います。
3.実勢価格の整理
それでは、実勢価格の整理をします。
実勢価格や販売価格などと、ネット上にはいろいろな価格の種類があふれていますが、以下の2点だけ、頭に入れておけば十分です。
時価 = 公示地価
時価 ≠ 実勢価格
また、販売価格やら、市場価格などの言い方も、実際に使う言葉は、
「実勢価格」
この2つで十分です。
ネット上で氾濫している様々な用語は、ほぼ同じ意味同士の言葉でグループ化できます。
以下で数式としてまとめてみました。
それぞれ「≒」で結ばれている用語は、若干の意味の違いはあるけど、同じ意味、として整理しておいて下さい。
「≠」は、イコールでない、つまり違うもの、という意味です。
「時価」 = 公示地価 ≒ 市場価格、正常価格、参考価格、取引指標
「公示地価」 ≒ 基準地価、相続税路線価÷80%、固定資産税評価額÷70%
「実勢価格」 ≒ 売買価格、成約価格、売却価格、購入価格
「時価」 = 「公示地価」
「時価」 ≠ 「売買価格」
「売買価格」 ≠ 「売出価格」
気を付けて頂きたいのは、
「実勢価格」 = 「公示地価」水準
という時もあるということです。
なぜなら、例えば、数百億円や数千億円する土地などを売買する時は、通常は不動産鑑定士による鑑定評価額を取得し、その鑑定評価額を基準に売買が行われるからです。
例えば、会社の経理担当の人や、経営者にとっても、客観的な不動産鑑定士による鑑定評価額に基づいて売買した、と言うほうが、説明がし易いと思われます。
4.まとめ
いかがでしたでしょうか。
さまざまな用語が氾濫する土地の価格ですが、同じような意味を以下の2つの価格概念に集約すると、
一気に不動産に対しての理解が深まります。
「時価」
と
「実勢価格」
の2つに絞りましょう。
分かりやすいイメージでは、
「時価」は、ジュースなどの「定価」(または希望小売価格)であり、
「実勢価格」は、消費者が選択する実際の購入価格、
のことです。
このように「実勢価格と、「一物四価」と言われている公的な価格指標とは、全く異なる概念であり、異なる水準感であることに注意しましょう。