友人や知人が自宅マンションを、
「買った時より高く売れた」
「今が売り時」
こんな言葉を聞けば、売り時を逃さないかどうか、気になってしまいます。
オリンピックや消費税増税、世界的な利上げ傾向など、中古マンションの正しい売り時は一体いつなのでしょうか。
目次
1.中古マンションの売り時はあまり考えすぎない方が良い?
結論から言うと、
「中古マンションに売り時はない」
と私は思っています。
(後で書く、例外ケースを除きます。)
東日本レインズが1月22日に公表した「首都圏における2018年(1~12月)の不動産流通市場の動向」によると、中古マンションの新規登録件数は20万6,901件で、初めて20万件を超えたようです。
ちなみに、この数字は過去最高であり、首都圏全域で前年を上回る件数だった、とのことです。
また、2018年の首都圏の中古マンション市では成約価格の上昇が続いている状況です。
「今が売り時じゃないか?」
と考える方もいるかと思います。
これから理由を書きますが、基本的には、
「中古マンションに売り時はない」
ので、安心して下さい。
2.高い時に売っても高く買わなきゃいけない
例えば、数年前にマンションを購入したマンションに住んでいる方。
そのマンションを売ると、住むところがなくなります。
当然、次の家を見つけてから、今の家を売るのが普通のやり方です。
この場合、今の家を売るのと、次の家を買うのが、ほぼ同時期になります。
例えば、2020年のオリンピック前の時期で、不動産価格が高止まりしている時期に売ったとしても、買う場合も高いのです。
3.高い時に売って得するのはこんな人たち
ちなみに、不動産価格が高騰している時に売って得するのは次のような人たちです。
・分譲マンションを売って、賃貸マンションへ引越す人
・価格が高い地域から安い地域へ引越す人
(東京23区の家を売って、地方圏に家を買うケースなど)
・自分で住んでない物件
(空き部屋、もしくは賃貸中の物件)
・空き部屋を買い取ってもらう場合
特に不動産会社などに買取ってもらう場合は、不動産価格が高騰している時が良いです。
なぜなら、買取った不動産を転売して利益を出すビジネスモデルのため、転売価格も高くできるのであれば、仕入れ値である買取価格も高くできるのです。
繰り返しますが、自分で住んでいるマンションを売って、新たに住む家を買おうと思っている人は、価格高騰期に売っても得はしません。(買う価格も高騰しているからです。)
4.オリンピック前の2019年こそ売り時では?
そうは言っても、やはり価格高騰期(記事執筆時点では2019年、東京オリンピック前です。)に売った方がお得なんじゃないか、という方もいると思います。
確かに、中古マンションの価格は、新築マンションが上がるのに合わせて、上がっていきますので、景気がよく価格が高騰している、さらには低金利で購入者のローンが組みやすい状況の方が売りやすいのは確かです。
でも、それは先ほど言ったような空き部屋の場合などは売り時かもしれません。
ただ、住み替えを考えている人にとっては、住み替え先の価格も高いわけですので、あまりお得感はない、と思われます。
また、売るだけ売って、価格が下がるまで賃貸に入る方法などを考えている方もいると思いますが、あまりお勧めできません。
なぜなら、まず、敷金や礼金などのイニシャルコストがかかること。また、価格高騰期は賃料も高いです。
さらに、賃料は価格と違って、契約で決められていますから、なかなか賃料を下げられません。
(住みたい家か見つからない、価格がなかなか下がらない場合は、高めの賃料をずっと払い続けることになります。)
5.自分が住んでいるマンションの売り時は自然体で決めましょう
これまでのことをまとめます。
不動産の価格高騰期に売って得するのは、
・分譲マンションを売って、賃貸マンションへ引越す人
・価格が高い地域から安い地域へ引越す人
(東京23区の家を売って、地方圏に家を買うケースなど)
・自分で住んでない物件
(空き部屋、もしくは賃貸中の物件)
・空き部屋を買い取ってもらう場合
こういう人たちです。
自分で住んでいるマンションを売って、住み替え先を購入する予定の方は、高くも売れますが、買う価格も高くなります。
ですから、あまりお得とは言えません。
つまり、自分で住んでいるマンションを売って住み替え先の購入を考えている人には、
「売り時はとくにない」
と言うことができると思います。
6.売り時を考えるよりも買い時を考えて準備する
住み替えの場合、売り時がないのなら、いつ売ればいいのか。
それは、買いたい物件が見つかった時です。
不動産の価格高騰期には、不動産の購入も控えるべき、という意見がありますが、それは少し違うと思います。
本当に自分が探し続けてきた理想のマンションが見つかったのなら、価格高騰期だろうが何だろうが、購入すべきだと思います。
逆に言えば、高い価格で買うことになっても、今住んでいる家も高く売れるのですから。