マンションを所有している方やこれから購入される方。
管理組合が予算を中心に動いているってことをご存知でしたか?
毎年、管理組合の総会などで、予算がどうのこうの、とか言ってるけど、良く分からない、何を見れば良いか分からない、という方。
きっといらっしゃいますよね。
この記事では、マンションの管理組合がなぜ予算で動くかを説明し、決算の時に何に注目すればよいか、を解説しています。
マンションを購入したら、必ず管理組合に入らなければなりません。
管理組合はマンション住民で構成され、マンション全体の運営を行います。
そして、管理組合の運営をしていく上で、避けては通れないのが予算です。
ただ普通は予算、と言われても何が何だか分からないですよね。
予算をどう組んだらいいのか、どうチェックしたらいいのか………勉強は必要なのか………とか。
この記事では、そんな専門家ではない人たち向けに、管理組合の予算についてのポイントを書いています。
目次
1.予算と決算の差に注目!
1-1.予算はどこで出てくる?
マンションを購入した人なら、1年に1回は総会、といってマンション住民が集まる集会があるのはご存知かと思います。
管理組合の予算は、その総会の時に、マンション住民の皆さんが「承認」します。
「承認」とは、オッケーを出す、ということです。
何に対してオッケーかというと、ほとんどの場合、管理会社が予算を作成してきますが、その管理会社が作成してきた予算に対して、オッケーを出すのです。
1-2.決算って何?
予算とは、マンションのお金の今後の使い道です。
これに対して、決算とは、使ったお金の結果のことです。
予算として今後のマンションのお金の使い道を決めます。
そして、実際に使ったお金がどれくらいか、ということを決算として総会で発表します。
これが、管理組合の決算なのです。
1-3.自分のお小遣いをイメージ
管理組合の予算と決算というのは、分かりやすく言えば、あなたのお小遣いをイメージして下さい。
毎月決まった額のお小遣いを渡されて、今月は何に使おうとか考えますよね?
あと、余った分は貯金して、将来、高い買い物をする。
管理組合も同じなんです。
管理組合は毎月、住民から支払われる管理費と修繕積立金をメインの収入にしています。
(駐車場や駐輪場の使用料もありますが。)
これに対して、電気代や水道代、壊れた所の修理代などを払います。
つまり、毎月の固定収入である管理費と修繕積立金等から予算を立て、実際にいくら払ったかを比較して決算を行います。
では、この時、何が大事なポイントでしょうか?
お小遣いと同じ、ということでピンときたかもしれません。
お金が余ったほうが良いですよね?
つまり、予算と決算の差がプラスであればあるほど、単純にそのマンションは良いマンションである、と言ってもおかしくはないのです。
2.なぜ予算?管理組合と株式会社との違いがポイントです!
では何故、管理組合が予算を作るのか?
別に予算を作らなくてもいいのでは?とも思えます。
株式会社みたいに管理費を収入にして、事業とか投資をして儲けてしまえば良いのに、なんて考える方もいるかもしれません。
でも、管理組合は株式会社とは違います。
何が違うかと言えば、「目的」が違います。
株式会社は、極端に言えば儲けることが目的で作られます。
これに対して、管理組合は、簡単に言うと、住みやすい環境を作るために作られています。
管理組合は儲ける必要はないのです。
毎月決まった管理費などの収入を、壊れて不便になった所を直したり、将来の大規模修繕のために貯金したりします。
予算を立てるのは、そのためなのです。
3.管理組合の特別ルール〜予算準拠主義〜
収入や支出を記録して報告などの管理をすることを「会計」と言います。
管理組合には特別な会計ルールがあります。
毎年、決められた期間の収入と支出を記録して、特定の人に報告する、という意味では、株式会社などの企業会計と目的は同じです。
ですから、管理組合の会計も、企業会計と共通するルールはあります。
ただ、先程の通り、管理組合の目的は、株式会社のような儲けることではありません。
マンション住民の生活を暮らしやすくするために、毎月決まった収入をどうやって使っていくか、ということが管理組合の会計の目的になります。
つまり、管理組合には株式会社と違い、予算を立てて、それに従って運営される必要があるのです。
これが管理組合に特有の会計ルール「予算準拠主義」です。
4.予算を超えた場合はどうする?
管理組合は予算準拠主義です。
また、予算と決算を比べて、お金がプラスになることが良いことだ、と言いました。
では、もし、支払うお金が予算を超えてしまったらどうなるのでしょうか?
管理組合は運営をストップしてしまうのでしょうか。
そんな時はしょうがないので、お金を取り崩します。
ちょうど、皆さんがお小遣いを使い切ってしまった時に、貯金を切り崩すようなものです。
貯金が全くなくなってしまった場合は、これも仕方ありませんので、借金をします。
具体的に言うと、予算が足りなくなった場合はまず、予備費を取り崩します。
予備費とは、具体的な使い道を決めずに、余裕を持たせるための項目です。
予備費でも足りなくなったら、臨時総会などで予算を超えた支出を決議します。
最終的に、マンション自体のお金が足りなくなった場合は借金するしかありませんが、それは大規模修繕の時以外で借金することはほぼありません。
5.管理組合の決算は予算と決算の差を見る!
管理組合の決算は、あなたのお小遣いをイメージして下さい。
毎月決まった収入を、あなたの生活を過ごしやすくするために使っていきます。
余ったら貯金できますし、足りなくなった場合は貯金から取り崩したりします。
そのため、予算より決算時の実際支出が少ない方が、貯金がたまりますので望ましいと言えます。
貯金がたまりやすいマンションの方が、将来の大規模修繕工事のための貯金もできますので、借金体質のマンションよりは良いマンションだと言えます。
管理組合の予算と決算を見るときは、いくら貯金ができるのか、つまり予算と決算の差に注目しましょう。
6.予算は、管理費の枠と修繕積立金の枠に分けられます。
今まで管理組合の決算より予算の方が少なければ貯金できると言ってきましたが、管理組合の会計の枠は、実は2つに分けられて管理されています。
管理費の枠と修繕積立金の枠です。
これは、管理費収入と修繕積立金の収入を分けるためです。
修繕積立金は、10~15年に1回行わられる大規模修繕のために、毎年貯金されるものです。
管理費は、月々の水道光熱費や、何か壊れた場合の修理のための支出に使われます。
予算より節約できて、貯金できた部分は、通常、修繕積立金の枠に貯められていきます。
予算は基本的には管理費の枠内で作られますが、予算を超えた場合は、修繕積立金を取り崩したりして不足分を補います。
そして、修繕積立金がゼロになってしまった場合は、借金をするしかない、ということです。
管理組合の予算を見るポイントとして、もう一つ挙げるなら、この管理費と修繕積立金の区分けが、ちょうど良く分けられているか、というポイントもあります。
まれに、管理費の枠が重視されて、修繕積立金の枠が軽んじられている場合があります。
こういった場合は、将来の修繕積立金が少なくなる可能性があるので、区分けの仕方を見直す必要が出てくるので注意しましょう。