分譲マンションの購入に伴い、もれなく付いてくる「大規模修繕」。
新築ピカピカの時は気にしなくても、築10年過ぎた当たりから、そろりそろりと近づいてきます。
この記事では、分譲マンションの大規模修繕に関するトラブルについて調べてみました。
1.なかなか計画が進まない≒いつまで経っても工事が始まらない
分譲マンションの大規模修繕あるある、として、
合意形成までに数年間かかった
ということを聞きます。
マンションの合意形成は、基本的には理事会役員として選出された数名の理事が行いますが、重要なことになってくると、マンション全体の過半数、などの合意形成が必要となってきます。
理事会だけで決めることには、
例えば、
・金額の小さい工事
・理事会の開催日
などがあります。
反対に、マンション住民にお伺いをたてるべき事柄としては、
・大規模修繕工事の工事業者選び
・大規模修繕工事の工事金額決定
・大規模修繕工事のスケジュール決定
などがあります。
なかなか進まない合意形成に対して、対抗策はないのか、というと、
・修繕委員会を立ち上げる
・決定を「理事会一任」にする
などの方法があります。
とはいえ、修繕積立金はマンション住民全員の共通の財産です。
使い方には沢山の方の意見を聞き、慎重に合意形成をすべきです。
(友人たちの話を聞く限りでは、熱心にマンションの会合に出席してくる人は、全体の1割もいない、というマンションもあるそうです。そういうマンションは、「理事会一任」というやり方の方が良いのでしょう。)
関連記事:【忙しい方必見!】修繕委員会の運営細則を作りましょう!
2.修繕積立が貯まっていない(借金の必要性)
いざ大規模修繕工事の計画をたてる、という時に発覚することが多いのが、
修繕積立金が貯まっていない
という問題です。
なぜ、こういう問題が起きるのか、というと、
そもそも修繕積立金の水準が少ない
今まで無駄な工事にお金を使い過ぎた
管理会社などの修繕計画が間違っている
という理由が考えられます。
新築マンションの場合、月々の支払いを少なく見せて、売りやすくするために、修繕積立金の水準が低く設定されているケースがあります。
(私のマンションもそうでした。)
また、管理会社などが、素人であるマンション住民からお金を絞り取るために、高い工事費をベースにした修繕計画を立てることがあります。
この場合は、修繕積立金の値上げも同時に行われることが多く、一見、しっかりと積立金が貯まっているように見えますが、そのほとんどが管理会社の利益として消えていく結果となります。
修繕積立金が貯まっていないケースには、
修繕積立金の水準が低いケース
と
高額な長期修繕計画が設定されているケース
が、原因として考えられると思います。
(私のマンションはダブルで該当していました。)
関連記事:【忙しい人必見!】長期修繕計画作成ガイドラインをチェック!
3.バルコニーが使えない
お金の話から離れて、日常の生活に関係する話として、
という問題があります。
これは、バルコニーの床を工事したりするためですが、
使えない
だけでなく、
物も置けません。(基本的には。)
例えば、
バルコニーで栽培している花
ウッドデッキ
机や椅子
などは、大規模修繕工事が始まった後、部屋の中にしまったり、倉庫に預けたりしなければなりません。
工事業者で対応してくれるサービスがあったり、管理組合の集会所などで預かったりするケースもあるようですが、基本的には自分で対応する必要があります。
しかも、大規模修繕工事中、多くの場合は3〜6カ月ほど、バルコニーには何もない状態を維持しなければなりません。
これも、ある意味、大規模修繕のトラブル、です。
4.工事の不具合
工事自体の不具合が起きる、という問題もあります。
原因は様々あると思いますが、
ということが、大きな原因となることが多いと思います。
最近は、工事業者の他に、設計事務所がチェックを行う「設計監理方式」が主流ですが、この設計事務所のチェックが入らない工事方式もあります。
「責任施工」という方法です。
この場合、工事品質については、工事業者を信頼して任せるしかありません。
もし不具合とかが起きても、後述する保険などで対応は可能だと思います。
ただ、もし、あなたのマンションが、
「責任施工方式」
で大規模修繕工事の話が進んでいるようなら、
「設計監理方式」
での工事についても検討すべきです。
(今は設計監理方式が主流です。)
設計監理方式へ変更することで、手抜き工事の可能性を減らすことにつながります。
(100%ではありませんが…)
5.住民からのトラブル
続いて住民からのトラブルです。
一番多いのが、スケジュールに関するクレームかと思います。
特に、大規模修繕工事中はバルコニーを片付ける必要がありますから、
来週から始まります
なんて急に言われても、住民としても困ってしまいます。
また、大規模修繕工事中は外壁の周りに、建物の高さと同じくらいの「足場」と呼ばれる鉄骨造の枠組みが作られます。
この足場上で、工事業者が作業しますので、工事期間中は、窓の外を見たら人影があってビックリ、ということにもなりかねません。
また、足場を伝って空き巣が侵入する、というトラブルもあるようです。
このような住民絡みのトラブルを防止するには、事前連絡をしっかりすることです。
特に、大規模修繕工事が始まる前に、工事業者から工事説明会が開催されますが、理事会のメンバーは工事業者と連携して、質問準備などをしておくと良いでしょう。
(私のマンションも、事前に住民からの質問を工事業者に連絡していました。)
6.工事業者が倒産する
次のトラブルは、工事業者が倒産するケースです。
工事業者が倒産することで、どういう悪影響があるのか。
まず、工事中に倒産してしまった場合は、一大事です。
工事が途中で止まってしまいます。
こんなことが起こらないように、大規模修繕工事の施工業者は、慎重に選ばなければなりません。
(保険で対応可能なケースもあるようです。)
また、工事が終わったら関係ない、ということにはなりません。
大規模修繕工事は、施工後の数年間、アフター保証があります。
工事の不具合などについては、工事業者などの負担で修理してもらうものです。
でも、もし不具合があった時に工事業者が倒産していたら、どうでしょう。
原則は、自分たちで直さなければいけないです。
ただ、この点も保険で対応可能です。
国土交通省では、大規模修繕工事瑕疵保険会社を5社指定しており、これら保険会社の会員になっている業者を選べば、保険での対応が可能です。
また、国土交通省指定ですので、安心感もあります。
<大規模修繕工事瑕疵保険国土交通省指定業者>
・工事完成保証有無
・住宅あんしん保証(株)
・(財)住宅保証機構
・(株)日本住宅保証検査機構
・(株)ハウスジーメン
・ハウスプラス住宅保証(株)
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