【要注意】マンションの管理委託費の内訳を見たことありますか?

不動産投資
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「ウチのマンションの管理会社って、大丈夫かな?」
「管理会社のサービスが悪いから変更したい!」
「管理会社の出してくる工事の見積はいつも高い。管理委託費も高いんじゃないか………」

自分のマンションの管理会社に疑問を持たれている方。
既に管理会社の変更を検討している方。

管理会社に支払う管理委託費の水準について、考えてみたことはありますか?
ましてや、その内訳項目について、しっかりと目を通したことがありますか?

 

この記事では、マンションの管理会社に支払う管理委託費について、特にその内訳項目の確認・チェック方法について解説しています。

 

私のマンションでは、分譲当初から同じ管理会社に管理を委託していました。
管理人さんの人柄も良く、仕事も真面目にして頂いていたので、住民は皆、管理会社に好意を持っていました。
そのため、例えば管理会社の管理委託費の水準に疑問を持つとか、ましてや管理会社の変更・見直しをしてみようなどとは、誰も思いもしないような状況でした。

状況が少し変わったのが、初めての大規模修繕工事を控えた年、管理会社から超高額な工事見積が出された時です。

私は、「アレ?」と思いました。
今まで、良い管理会社だと思っていたけど、本当だろうか…………何か根拠はあったっけ………

結局、管理会社以外に大規模修繕工事を頼むことになりましたが、その直後、管理会社から管理委託費の値上げを告げられました。

「アレ?」
とまた思った私は、管理委託費の水準も本当に適正な水準なのかどうか、疑問を持ち始めました。

とはいえ、マンション管理については素人であり、管理会社から重要事項説明を受けてもチンプンカンプンです。

でも、このままでは不安でしょうがない。
その時、私が調べて参考になったことを、この記事にまとめました。

 

1.今の管理会社に「アレ?」と思ったら、まずは管理委託費をチェック!

 

1-1.管理会社に「アレ?」、でもちょっと待ってください!

 

管理会社に疑問を持つ瞬間は人それぞれだとは思います。

例えば、管理会社のフロントマンのサービスの質が悪い、管理員の勤務態度が悪い、管理会社から提示される工事金額が信じられない、大規模修繕工事の見積が根拠なく高額である………………などなどです。

一度、不安になると、管理会社自体、特に管理会社に支払っている管理委託費が気になります。

良く管理会社を変更して、大幅な費用削減に成功したなどというネット上の広告を目にされたこともあるかと思います。

この際、思いきって管理会社を変更しようか。

そう思っている方、ちょっと待って下さい。
まずは管理委託費をチェックして下さい。

 

1-2.管理委託費の内訳を知ることは色々役に立つこと!

 

管理会社の変更を検討する前に管理委託費をチェック、でもどうすればいいのか。

管理委託費をチェックすることは、後々、管理会社を変更することになった時も、役に立ちます。でも、どうすればいいのか。

「内訳」を見ましょう。
「内訳」を知ることで、管理会社がどのくらい利益を取っているのか、それぞれのサービス水準はどの程度の仕様となっているのが分かります。

管理委託費のチェックには、その内訳項目の分析が不可欠です。

 

2.管理委託費は総額ではなく、内訳をチェック!

 

2-1.そもそも管理委託費とは?内訳はどこで見る?

 

管理委託費とは、マンション住民で構成される管理組合が、自分たちのマンションの管理を、その道のプロである管理会社に委託する際に、管理組合から管理会社に支払われフィーのことです。

管理委託費は管理委託契約書で確認することができます。
但し、管理委託契約書は契約・または更新後に理事長にだけ交付すれば良いことになっているため、確認したことがない方もいるかもしれません。

その時は、総会で配布される重要事項説明書を見てみましょう。
よほどのことがない限り、重要事項説明書に管理委託費の内訳は記載されているはずです。

 

2-2.管理委託費の内訳を表示するようになった経緯とは?

 

というのは、もともと管理委託費は総額だけの表示をしている管理会社が多かったのですが、総額だけでは管理サービスの内容も分かりづらいし、比較もできないだろうということで、国土交通省が管理委託費の内訳を表示するように指導した経緯があるからです。

国土交通省の指導は、標準的な管理委託契約書のフォーマットを公開することで、管理委託契約書に、内訳を記載させるようにしています。

但し、一定規模以上の管理会社であれば、通常は重要事項説明書にも記載しているはずです。
(記載がなければ、もしかすると一刻も早く、管理会社を変えた方がいいかもしれません。)

 

2-3.具体的な管理委託費の内訳とは?

 

管理委託費の内訳は大きく分けると4種類あります。

 

①事務費
②管理員の人件費
③清掃人の人件費
④設備保守点検の費用

①の事務費とは、管理組合の収入と支出の管理がメイン業務であり、付随するサービスとして、管理組合の運営支援、マンションの小規模な修繕のサポート、管理費滞納者への対応などがあります。
お分かりのように、この①事務費は、管理会社のサービス部分の費用になります。

②と③はその名の通り、管理人さんや清掃員さんのお給料です。

④設備保守点検費用は、項目が多く、ややイメージしづらい費用かもしれません。
(エレベーター、消化器などの消防設備、屋上にある貯水タンク、機械式駐車場などの、要はメンテナンス費用のことです。)

 

3.時間をかけても意味がない?管理委託費の内訳をチェックするポイント!

 

3-1.専門家でないと見ても分からない?勉強する必要がある?

 

管理委託費の内訳を見る、と言っても、何をどう見ればいいのか。
管理会社に勤めているわけでもないし、設備関係の専門的知識があるわけでもない。
管理人さんとかのお給料は、知り合いのマンションとか聞いたら分かるかもしれないけど、大変だし、そもそもそんなこと聞けるのか疑問ですよね。

これは例え、管理委託費の内訳が分かったとして、内容の理解のためには結構な勉強時間が必要かもしれない………………と思われいる方、そんなことはありません!

 

3-2.見るべきポイントをおさえて、効率よく内訳チェックを!

 

確かに、設備保守点検費用なんかは、設備それぞれの専門会社があるくらいなので、専門的知識を勉強しようと思ったら、どれくらいの時間がかかるか、想像できません。

でも、勉強する必要はありません。
ポイントをおさえれば、「アレ?おかしいな?」って思えるはずです。

ではそのポイントって一体どんなものでしょうか?

ポイントはたった「3つ」です。

 

3-3.ポイント①「管理会社の利益を探せ!」

 

国土交通省がマンション管理会社に管理委託費の内訳を提示するように指導した「マンション標準管理委託契約書」には、内訳の例示がされています。

この例示の中で最も特徴的なのが、管理会社の利益の表示パターンです。

パターンはざっくり分けて2パターンです。
つまり、

①管理会社の利益をハッキリと表示しているパターン
(「管理報酬」とか、「管理手数料」などの内訳で表示されています。)
②各項目(事務費とか管理員人件費、設備保守点検費など)に管理会社の利益を少しづつ乗っけているパターン

そのため、まずは「管理報酬」や「管理手数料」などといった、管理会社の利益となる項目の表示があるかないかをチェックすることが大事です。

 

3-4.ポイント②「項目はしっかり揃っているか?」

 

「マンション標準管理委託契約書」には、管理委託業務の各業務の内訳を明示する場合のサンプルが3パターンほど記載されています。
このサンプルと、あなたのマンションの管理委託契約書の内訳(契約書がなければ、重要事項説明書を見ましょう。)を比較します。

だいたいのマンションでは、サンプルの3パターンのうちのどれかに当てはまるものと思われます。
ここは、この程度のチェックで宜しいかと思いますので、チェックレベルとしては易しいです。

ですが、もし、サンプルのどのパターンにも当てはまらない、独自の内訳項目が使われている場合は注意が必要です。
それはつまり、管理会社が「マンション標準管理委託契約書」に従っていない可能性が高いからです。

その結果、一般的な管理委託料水準ではなく、高額なフィーを支払ってしまっている場合も考えられます。
注意しましょう。

 

3-5.ポイント③「事務費を疑え」

 

「事務費」とは先述の通り、管理会社の事務作業代金のことです。
実は、他の管理委託費内訳である各人件費や設備保守点検費は、フィー水準の相場のようなものが把握し易いものと言えますが、こと「事務費」については、独自の基準があるわけではないため、比較検討が難しい項目となります。

そのため、この項目については、事務費に対応する管理会社のサービスや仕様を確認し、場合によっては管理会社に質問してみるのも良いかもしれません。
また、競合他社の相見積を取得した際に、重点的にチェックして頂きたい項目となります。

つまり、不要なサービスが含まれていないか、実際に行われていないサービスが含まれていないか 等の視点から、厳しくチェックすることをお薦めします。

 

 

4.専門的な知識も身につけて、もっと細かく見るべき?

 

確かにサラリーマンをしながら理事会の役員、特に理事長として活動する場合、平日はほぼ時間がなく、休日の時間を使うしかありません。
ただでさえ、理事長の業務があるのに、それに加えて管理委託契約書の勉強なんて、そんな時間ないよ、と思われますよね。

だから、先ほどの3つのポイントをおさえて、全体的な視点で、まずは管理委託契約書の内訳をチェックしてみることをお薦めします。

ただ、もし、時間があるなら、専門的な知識の勉強をして、項目ごと(特に設備保守点検費については、各設備ごと)に精査していく必要があるのではないか、またはその方がより良いチェックができるのではないか、と思われる方もいらっしゃいますよね。

確かに、専門的な知識を持つ人が見れば、より詳細な分析は可能かもしれません。
でも費用対効果を考えてみて下さい。
世の中のマンション理事会のほとんどの方は、その道の専門家ではありません。

ではそんな方々が管理会社のサービス分析が上手くできていないかというと、そんなことはありません。
専門知識が不足している分は、競合他社の相見積でカバーすれば良いのです。

相見積を取るだけでも、競合他社の情報収集、絞り込み、管理会社営業マンからの説明を聞くなど、なかなかの時間を割くことが必要です。
ただ、一から設備保守点検の勉強をするよりは、遥かに短時間で効率的な管理委託費の分析ができます。

専門的な知識がない私たちは、ポイントをおさえた分析と、相見積による情報収集にこそ、時間を割くべきなのです。

 

参考記事:【忙しい人必見!】マンションの管理会社を変更するということ

 

 

5.管理会社の変更を検討している方も、まずは管理委託費の内訳をチェック!

 

これまでご説明してきたように、管理委託費の内訳分析はとても役に立ちます。

現在の管理会社のフィー水準が高いか、安いかを知る手掛かりとなるだけではなく、管理会社変更の際の、競合他社を選択する際の指標となります。

つまり、管理会社を疑い始めた人も、管理会社を変更することを決意した人も、どちらもまずは管理委託費の内訳を分析することが必要となるのです。

逆に言えば、管理委託費の内訳を分析することなく、自分のマンションの管理を良くすることはできません。

「敵を知り、己を知れば百戦して百戦危うからず」

マンション管理の質の向上のためには、まず、自分のマンションの管理委託費の内訳をチェックしましょう。

 

 

6.ポイントを絞った効率の良い管理委託費のチェックをしましょう!

 

繰り返しになりますが、一から管理や設備の勉強をしている時間があったら、1社でも多くの相見積を取得して下さい。
細かい内訳項目を細々と調べている時間があったら、1社でも多くの営業マンから説明を受け、質問をして下さい。

専門家ではない私たちは、専門的な知識と詳細な分析力という土俵ではなく、ポイントをおさえた分析と多数の相見積を取得する情報収集力で勝負をするべきなのです。

世の中の本質は、全体のうちの20%の中に80%分が含まれているらしいです。

管理委託費の内訳を分析するときにも、細かい80%のことよりも、重要な20%に的を絞って、効率的な分析・チェックを心掛けましょう!

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