【忙しい人必見!】大規模修繕費用の相場

不動産投資
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これから大規模修繕工事を控えているマンションにお住まいの方。
まさに今、大規模修繕工事が進行中のマンションにお住まいの方。
修繕委員だけど、工事費の見積書の見方が分からない方。
マンションに建築の専門家がいなくて、どうしていいか分からない理事長の方。
などなど。

大規模修繕工事に当たって、専門的な知識を身につけなければ、分析や検討ができないと思っていませんか?

実は、公表されているデータなどから、大規模修繕工事費の単価を使った検証をすることで、素人でも「アレ?おかしいな?」と思うところが分かります。

疑問点が見つかれば、納得いくまで専門家や工事業者に質問しましょう!

この記事では、大規模修繕工事に当たって、主に単価水準からの検証方法・意義について、記載しています。

「自分は専門的知識がないから、管理会社さんにお任せしましょう。」
そんなことを言っていると、とんでもない損をしますよ!
素人相手に、お買い得な工事をしてあげる程、管理会社や工事業界は甘くありません。

「専門的知識がありません」という言葉は、「騙しやすいから、どうぞ高い工事費をぼったくって下さい。」と言っているのと、そこまで変わらないと思います。

実際、私の住んでいるマンションでも、建築の専門知識を持っている住民がいない中で、管理会社に任せる方向で進んでいたところ、出てきた工事費の見積は相場の2倍強!
それでも管理会社を信じてやまない住民は、「じゃ、管理会社さんにお任せしましょう。」
という方向で変わりませんでした。
(知識がないというのは本当に恐ろしいことです。)

ちょっとおかしいな、と思った私が友人などに話を聞いたところ、ぼったくり度合が明らかになったのです。

実際にこのようなケースは多いようで、国土交通省も警鐘を鳴らしています。
そして、その国土交通省が発行しているデータを分析すれば、建築の素人でも、悪徳管理会社や工事業者に、立ち向かうことができるのです。

 

1.大規模修繕工事費用の相場は、いくつかのパターンがあるので注意!

 

 

一般的に大規模修繕工事費の相場は、
1戸当たり70万〜130万円、さらにその2倍前後まで幅がある言われています。
(つまり、総戸数が100戸のマンションだと、工事費の総額としては、7,000万円〜1億3,000万円が相場、ということになります。)

だからと言って、この大きな幅の中に、あなたのマンションの大規模修繕費が入っていれば良い、という訳ではありません。

マンションのパターン・タイプに応じて、相場はさらに4つに分けられます。

だから、まず、自分のマンションがどこのパターン・タイプに属するのかを判断しなければなりません。
(こういうと難しく聞こえますが、実にシンプルで簡単ですので、身構えずにこの後の説明を読み進めて下さい。)

 

 

2.大規模修繕工事費用の相場は、築年数・戸数・施設・階数などにより異なる

 

大規模修繕費の相場は、先程のように、1戸当たり70万〜200万円近くまで幅広いです。

この幅広い相場が4つに分けられるのですが、何をもって、分けるのか?

まず、第一に戸数で分けます。
戸数の多い少ないは、つまりは建物の大小ということです。
一般的に戸数が少ない方が、大規模修繕費の1戸当たり単価は高くなる傾向にあります。

次に建物の高さ・階数で分けます。
建物の高さは、大規模修繕工事費の中でも高いウェイトを占める足場代に大きく関係する項目です。
特にタワーマンションの場合、足場が組めず、昇降式足場という方法を使うことが多いため、1戸当たりの単価は高くなる傾向にあります。

最後に、施設の有無、大小などで分けます。
(プール、温泉、機械式駐車場、ジムなど)
一般的に、豪華な施設がある方が、大規模修繕工事費の1戸当たり単価が高くなる傾向にあります。
特に機械式駐車場は維持管理のために修繕費が高くなる傾向があります。
(廃止・撤去を検討しているマンションもあります。)

自分のマンションがどのタイプなのかを判断する方法は、イメージとして、まず戸数で分類し、1戸当たり100万円の単価を基準に、階数や施設の有無で、それより下回るか、上回るかを考えていくのが良いでしょう。
(タワーマンションは最終的に2倍にして考えましょう。例えば、大きく分類して大体1戸当たり90万円くらいかな、と思っても、タワーマンションの場合はその2倍、180万円前後を目安にしておく、ということです。)

 

 

3.タイプ別の大規模修繕工事費用の具体的な相場と根拠データ

 

 

それでは、具体的な相場データを見ていきましょう。
2018年5月11日に国交省が発表したデータが参考になります。
「マンションの大規模修繕工事に関する実態調査」

このデータでは、1戸当たりの単価として、次のようなデータが示されています。

・戸数別
・工事の回数別

また、1戸当たり単価のサンプル全体に占める割合としては、次のように説明されています。

・1戸当たり75万円〜100万円:30.6%
・1戸当たり100万円〜125万円:24.7%
・1戸当たり50万円〜75万円:13.8%

これは戸数や築年数などが分けられていませんが、全体的に75万円〜125万円の金額の中に約半分の工事は含まれる、ということが示されています。

また、工事回数別の1戸当たり単価の平均値としては、次のように説明されています。

・1回目:1戸当たり100万円
・2回目:1戸当たり97.9万円
・3回目:1戸当たり80.9万円

1回目の工事から徐々に平均単価は逓減していってます。
(3回目の工事費が下がっている理由として、積立額不足で十分な工事を行えていないマンションがあることが考えられます。)

この中で、最も1戸当たり単価の大きい1回目の工事を中心に、戸数別に見ていくと、概ね次のような単価を目安にできると考えられます。

【1回目の工事のうち、最も割合の多い総額をレンジ最大戸数で除した場合】

・20戸以下:1戸当たり125万円
・21〜30戸:1戸当たり115万円
・31〜50戸:1戸当たり90万円
・51〜75戸:1戸当たり80万円
・76〜100戸:1戸当たり125万円
・101〜150戸:1戸当たり85万円
・151〜200戸:1戸当たり90万円
・201〜300戸:1戸当たり100万円
・301戸以上:1戸当たり110万円

少ない戸数ほど1戸当たり単価は割高になる傾向が見られます。また、戸数が増えるほど1戸当たり単価は逓減していく傾向ですが、途中デコボコしているのは、おそらく一定規模を超えるマンションには豪華な維持費のかかる施設があったりする影響が考えられます。

 

 

4.レンジが広すぎ、でも逆に分かりやすい?

 

 

ここまでご覧になった方で、75万円〜125万円て、レンジが広すぎるけど、本当に参考になるの?と思われた方もいると思います。

確かにその通りで、ズバリうちのマンションの工事費はいくらだ、と査定するためには不向きなデータです。

ですが、レンジが広い分、逆にレンジから外れた場合は注意が必要です。

レンジから外れた工事費に何も質問が出ないようなマンションのことを、管理会社や工事業者は素人扱いします。
マンションの住民が全員素人だと踏んだ管理会社は、レンジの2倍近くの工事費をふっかけてきます。(実際にあった話です。)

つまり、レンジから外れている場合は要注意、ということです。
工事費が高い可能性もありますし、質問しない場合には、管理会社や工事業者からナメられてしまうことも考えられます。

 

 

5.大規模修繕工事費用はタイプによりレンジが大きく異なる

 

 

先程説明した通り、戸数や工事回数別、施設の豪華さによって大規模修繕工事の単価水準は異なります。

違うタイプの相場を参考にしていたら、判断を誤るので注意が必要です。

特にタワーマンションの場合は、通常の相場の2倍近くかかるケースもあるようなので、注意が必要です。

 

 

 

6.大規模修繕工事費用の相場をチェックする場合、まず自分のマンションを理解しましょう

 

 

 

管理会社や工事業者から大規模修繕工事の見積りが出てきた場合、内容を確認することになると思います。
その場合、まず、自分のマンションがどのパターン・タイプに属するかを、正しく判断することが重要です。

大規模修繕工事の単価は戸数や工事回数(築年数)、階数、施設の豪華さによって大きく異なります。

管理会社や工事業者にナメられて、ぼったくりな工事をされる前に、まず、自分のマンションについて、基本的なタイプをしっかりと抑えて、単価水準による検証を行ってみましょう。
(単価レンジから外れている場合は要注意です。)

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