【忙しい人必見!】長期修繕計画作成ガイドラインをチェック!

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「修繕積立金が足りません!」
突然、管理会社の担当からそんなことを言われて困っている方。

「借金しないと大規模修繕工事ができません!」
いざ、大規模修繕工事の準備を始める際、初めて取得した見積りで借金の可能性が判明したマンション。

「長期修繕計画の見直しにより、毎月の修繕積立金を増額します!」
何故か、突然、毎月の負担が1万円弱、増えてしまった………

そんな経験をされている方、いらっしゃいませんか?

 

この記事では、修繕積立金を増やしたり、借金体質の原因となる「長期修繕計画」について解説しています。
また、作成に当たって標準となる「長期修繕計画作成ガイドライン」の主要なポイントも記載しています。

 

マンションを長期間、きれいに使用するためには、自分の部屋(専門用語では「専有部分」と言います。)をキレイにするだけでなく、エレベーターやエントランス、屋上や廊下などの住民みんなで共同して使用する部分(共用部分)の手入れをしていくことが重要です。
この共用部分の手入れをするために、主に必要とされるお金を「修繕積立金」と言います。
また、定期的で大掛かりな共用部分のメンテナンスを「大規模修繕」と言います。

参考記事:【忙しい人必見!】大規模修繕とは?建築基準法との関係は?

 

大規模修繕をするための修繕積立金をどうやって貯めていくか、それを考えるために必要もなるのが、「長期修繕計画」です。

修繕積立金の負担が軽いか、重過ぎるかは、長期修繕計画の適切さに依存していると言っても、過言ではありません。

 

 

1.管理会社の思い通りな長期修繕計画になっていませんか?

 

1-1.そもそも長期修繕計画って何?

 

長期修繕計画とは、一言で言うと、将来の大規模修繕工事の具体的な予定のことです。
「長期」は25年から30年をイメージして下さい。

注意すべきなのは、長期修繕計画を作るのは専門家でも、管理会社でもなく、マンション住民で構成される管理組合なのです。
長期修繕計画は、単なる計画ではありません。長期修繕計画の内容次第で修繕積立金の額が変更されます。それはつまり、変な計画が立てられてしまうと、余計な修繕積立金を支払わなければならなくなってしまい、毎月の出費が増えてしまいます。
(数百円という単位ではありません。数千円単位、下手すると1〜2万円単位の影響があります。)

 

1-2.あなたのマンションの長期修繕計画は正しいですか?管理会社のいいように作られていませんか?

私のマンションではいつのまにか、長期修繕計画の大規模修繕費用の総額が倍になっていました。

「マンションを買うということは、管理を買うこと」と良く言われますが、その「管理」には、「長期修繕計画と修繕積立金の状態」が大きく影響します。
「管理」ということで、管理会社のブランドなどを想像する方も多いと思いますが、それは違います。

実際にはその管理会社が、専門知識のないマンションの住民を食い物にすることで、「長期修繕計画と修繕積立金の状態」をメチャクチャにして、「管理」を悪くしてしまうこともあるのです。

 

2.管理会社からカモ扱いにされると、長期修繕計画が変わる?

 

2-1.素人ばかりの管理組合、理事は輪番制、というのがヤバイ!

 

私も反省していますが、「全くの素人なので管理会社さんにお任せしようと思います。」と当時は管理会社のフロントマンに言っていました。
他の住民の方々も口々に、「専門的なことは分からない、管理会社さんにやってもらおう」と言っていました。

異変に気が付いたのは、管理会社から出された大規模修繕工事の見積りを見た時です。
積立金残高よりかなり高く、借金しなければ工事できないような高額な見積りでした。
管理会社側は借金を薦めてくる有様です。

思えば、私のマンションには素人ばかり、ということを自分たちで管理会社にアピールしていたように思います。
振り返ると、徐々に、積立金は増額され、長期修繕計画はより高額な工事代金に見直される始末です。

管理会社はマンション住民の素人度合いをランク付けしている、という噂を聞いたことがありますが、私たちのマンションは管理会社にとっては、まさに葱を背負ったカモだったのでしょう。

 

2-2.管理会社は全部お世話してくれる所ではない!

 

そもそも、管理会社はあくまでマンション管理の会社であって、工事業者や設計会社ではありません。
しかも、大規模修繕については、管理会社お任せパターン以外の方法だと、管理会社はノータッチ、という会社がほとんどだと思います。
(つまり、管理会社に利益がない以上、手伝わない、ということです。)

しかも、日常の管理委託費の収入だけでは厳しい管理会社も多く、大規模修繕受注は管理会社にとっても大きな収入の機会なのです。

私たちのマンションは、すったもんだの挙句、自分たちで大規模修繕をする道を選びましたが、その途端、管理会社は管理委託費を値上げする!と言い出す始末。

つまり、管理会社はマンションのためではなく、自分たちの会社の利益のために動いているのです。
(よく考えれば、当たり前ですよね………)

 

2-3.管理会社を変えられる、という視点を持つことが大事

 

管理会社にいいようにやられているけど、自分たちには専門知識がないから………と泣き寝入りする必要はありません。

「管理会社は変えられる」のです。

かつては管理会社を変える、という考え方はなかったようですが、最近では管理会社見直しを専門とするコンサルティングなども出てきていますし、友人の話でも、相見積もりを取って管理会社を変えて、管理費が安くなった分、修繕積立金に回した、なんていう話を聞きました。

管理会社に何でもお任せ、と思っている方、管理会社を相見積もりで競争させる、という視点を是非持って下さい。

 

 

3.長期修繕計画次第で修繕積立金が変わります!

 

3-1.全国の平均的な修繕積立金

 

平成25年度の全国総合調査では戸当たりの平均的な修繕積立金は1戸当たり約11,800円という調査結果が出ています。

この調査と比較して、あなたのマンションの修繕積立金は高いですか?低いですか?

参考記事:【忙しい人必見!】大規模修繕の費用はどのくらいの負担?

 

規模や築年数、過去の大規模修繕工事のやり方により、幅がありますが、平均と比べてあまりにも高すぎる場合はご注意ください。

管理会社にナメられている可能性もゼロではありません。

 

3-2.新築は安い、カモられている管理組合は高い

 

新築マンションの場合、購入者の月々支払いを減らすために、当初は低めの修繕積立金の水準を設定しているケースが多いです。

購入当初は安いのですが、そのままの水準では、いざ大規模修繕工事、という時に積立金が不足します。

 

そこで、段階的に修繕積立金を増額していくマンションがほとんどです。また、概ね5年毎に長期修繕計画を見直すため、そのタイミングで修繕積立金を増額することが多いです。

 

その見直しのタイミングが重要です。
管理会社が長期修繕計画を作成するケースでは、気をつけないと、増額幅が大きく、月々の負担が大きくなってしまうケースもあります。

 

マンション内に専門的知識を持つ住民がおらず、管理会社にナメられているケースでは、そのような形でどんどんカモにされていきます。

 

実際に私のマンションがそうでした。
特にひどいのは、長期修繕計画内の工事金額自体が当初の計画値の2倍弱に跳ね上がっており、その工事金額をもとに、修繕積立金が設定されたことです。

 

 

4.長期修繕計画作成のためのガイドラインがあります!

 

4-1.ガイドライン???

 

長期修繕計画を作るための参考資料として、「長期修繕計画作成ガイドライン」があります。平成20年6月に国土交通省が策定したものです。

このガイドラインとセットになるものとして、「長期修繕計画標準様式」があります。

ガイドラインには、将来の修繕積立金不足を防ぐため、またバラバラだった長期修繕計画のフォーマットの統一のために、この「長期修繕計画標準様式」を使った長期修繕計画の作成方法が記載されています。

 

4-2.ガイドライン制定の経緯

 

もともと長期修繕計画は、修繕積立金の額、すなわち毎月の出費に大きな影響があるにもかかわらず、標準化された統一的な形式がなく、作成者ごとにバラバラでした。そのため、比較可能性がなく、検証することが難しい状況にありました。

そこで、平成20年に国土交通省がガイドラインを定めました。その目的は主に、長期修繕計画の様式の統一化と、ガイドラインを使った長期修繕計画の作成方法、修繕積立金を定める際の基本的な考え方を示すことでした。

 

4-3.ガイドラインの性格

 

ガイドラインの性格としては、将来の修繕工事を確定するものではなく、定期的な調査・建物診断により見直されるものです。

長期修繕計画の金額が変わる場合というのは、例えば以下のような場合です。

・技術改善により、工事の仕様が進歩した場合
・維持管理の状態により、工事実施時期がズレる場合
・不確実な将来予測により、前提とする金利等が変動する場合(修繕積立金の運用金利、借入金利、物価上昇率、建築費の変動、消費税率の変化 など)

 

4-4.ガイドラインの対象期間

 

ガイドラインの対象となる長期修繕計画の期間は、新築マンションでは30年、既存マンションでは25年です。
その理由は、一般的な12年周期の工事を2回行う、という前提のもと、ガイドラインが作成されているからです。

 

但し、最近は建物の品質も良いらしく、10〜12年という短い期間ではなく、15年周期の大規模修繕工事を推奨する動きがあります。

(一般社団法人マンション大規模修繕協議会などの機関が推奨しています。)

 

例えば、30年の期間を考えた場合、10年サイクルであれば3回、15年サイクルであれば2回で済みますので、長期的な視点で考えれば、大規模修繕費用を節約することができるのです。

大規模修繕工事を自分たちのボーナスのように考えている管理会社にとっては、是非とも10年周期でやりたい所だと思いますが、私が設計コンサルの方などに聞いたところ、建物の品質が良くなってきており、15年周期の大規模修繕でも問題ないらしいです。

(実際にその設計コンサル会社は、15年周期での大規模修繕を薦めているそうです。)

 

4-5.ガイドライン参考時の注意点

 

ガイドラインに基づく長期修繕計画の見直しタイミングは5年毎とされており、修繕積立金も合わせて見直すような指針になっています。

ガイドラインの考え方では、一部の大規模修繕に関する調査などでは含まれない、調査・診断費用を含みます。また、同じく設計・監理料についても含んだものとして、考えられています。

(ガイドライン以外の調査などでは、設計監理料は別で計算されている場合もあるので注意しましょう。)

参考記事:【忙しい方必見!】大規模修繕の設計監理料

参考記事:【忙しい人必見!】国土交通省が調べた大規模修繕の費用

 

また、ガイドラインが想定する工事は、あくまで修繕工事であって、性能向上目的の工事(資本的支出扱いとされるもの)は含まれないことに注意しましょう。
(耐震改修、バリアフリー、防犯対策、エントランス・ドアなどのデザイン改修 などは含まれません。)

 

 

5.あなたのマンションの長期修繕計画は、ガイドラインと同様の項目になっていますか?

 

もう一度確認します。

あなたのマンションの長期修繕計画は、ガイドラインに従って作成されていますか?

 

ガイドラインには、長期修繕計画を作成する上で、標準とする項目が記載されています。

是非、この標準的な項目と自分たちのマンションの長期修繕計画を比較してみて下さい。

 

計画上の工事金額か高い、安いという以前に、ガイドラインに従っていない長期修繕計画である場合は、論外であり、非常に問題があると思われます。

そのような場合には、外部専門家への相談、管理会社の変更などを検討した方が宜しいかと思われます。

 

管理会社は決してマンションの味方ではなく、あくまで営利企業です。
但し、営利企業である以上、競争は避けられません、つまり相見積を取って管理会社の変更を検討することは当たり前のことなのです。

 

全てを管理会社任せにするのは即ヤメにして、自主的な長期修繕計画の見直しを検討しましょう。

 

 

6.長期修繕計画は自分たちが作るもの!人任せにするのはヤメましょう!

 

先程の通り、管理会社は基本的にはマンション住民の味方ではありません。

 

従って、長期修繕計画を管理会社主導で作成するのは言語道断です。
ナメられている場合には、変に高額な長期修繕計画が立てられ、不要な分まで修繕積立金の値上げを要求されることにります。

 

ですから、管理会社任せにせず、自主的に長期修繕計画をチェックし、作成するようにしましょう。

 

なお、ガイドラインに基づき、長期修繕計画を作成する場合、機械式駐車場に注意して下さい。
何故かというと、機械式駐車代は修繕費用が高額になることが多いからです。

 

なので、最近の新築マンションでは、戸数に対して駐車場台数が足らない場合でも、機械式駐車場だけは作らない、というマンションもあります。
また、既存のマンションでも、修理・修繕をしないで、機械式駐車場を取り潰す、といったマンションもあるようです、

 

最後に、本記事に書かれたことを見直してみると、修繕積立金の減らし方として、次の3ポイントがあることが分かります。

 

【修繕積立金の減らし方】
・長期修繕計画を見直す
・管理委託費の削減分を修繕積立金に回す
・機械式駐車場を撤去する

 

以上のポイントを是非実行して、財政状態の良好なマンションを作りあげましょう。

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