不動産の評価額とは厳密には何でしょうか。
不動産には「一物四価」と言って、様々な価格がある、と言われることがあります。
(正確には土地の価格が「四価」なのですが。)
結論から言えば、不動産価格の評価が出来るのは、
不動産鑑定士
という資格を持つ人だけです。
不動産鑑定士は、不動産価格を決定することができる唯一の資格です。
不動産鑑定士か決定できる価格には、依頼内容に応じて数種類あるようですが、その中でも、
正常価格
という価格は、裁判での証拠や、企業の決算数値の根拠とされるなど、非常に説得力の高いものです。
正常価格とは、売り手・買い手双方に売り急ぎ、買い進み等の特殊な事情がない取引で成立すると認められる価格のことです。
では、不動産会社が査定した価格はどのような性質があるのしょうか?
不動産会社の査定額の根拠としては、査定の対象となる不動産と似ている不動産が、実際にいくらで売れたのか、というデータです。
マンションであれば、間取りや築年数などが似ているマンションがいくらで売れたのか、というデータです。
この価格は「成約」価格と言われますが、成約価格が取得できるのは、不動産会社だけです。
具体的には、不動産会社が加盟するレインズというデータベースから取得します。
一般の人には取得できません。
そして、不動産会社が査定した価格というのは、実際にインターネットや広告を通じて、購入希望者に対して売り出される価格となります。
そして、不動産会社の収益というのは、不動産の成約価格の約3%の仲介手数料になります。
したがって、不動産会社が査定する価格は、普通に考えれば、不動産会社にとってはより多くの仲介手数料を得ることができるため、高めに出してくると考えられます。
しかし、一方で、買取転売、という販売方法もあります。
買取転売の場合、安く買い取って、リフォーム後に高く転売、という方法のため、不動産会社にとっては、査定額(買取額ではない場合があります。)が低ければ低い方が都合が良いのです。
まとめますと、不動産価格の評価額とは、厳密には、不動産鑑定士の決定する不動産鑑定評価額だけです。
不動産会社の算出する査定額は、高い場合や安い場合、どちらも考えられます。
つまり、家を売買することを考えている場合、不動産会社の査定額だけしか判断基準とすることは、一般の人はやめた方が良い、と考えられます。
もちろん、不動産に精通した人であれば、不動産会社の査定額は一つの参考意見として、自分自身で判断を行うことができます。
しかし、不動産業界とは縁のない人にとっては、不動産会社の査定額だけで判断すると、必ずしも適正価格で売買できるとは限らず、納得できる売買ができない可能性があります。
もちろん、不動産会社の査定額は貴重な参考資料になり得ます。
ただ、それだけで判断するのは、分析が不十分、ということです。
とは言え、一から不動産のことを勉強するだけの時間はない人がほとんどだと思います。
そこで、最低限やった方が良いこととして考えられるのは、自分自身でいくらくらいか、を考えることです。
詳しくは他の記事で説明していますが、必ず、自分で情報を集めて、自分自身の意見を持つことが大事です。
最近ではAIが売買予想価格を出してくれたりします。
また、費用はかかりますが、不動産鑑定会社に相談することもできます。
不動産は高額です。
後悔しないように、最低限、自分でできることはやっておくのがよいと思います。