これから投資をしようと思っている方。
株式投資にするか、不動産投資にするか、迷っている方。
「上場廃止」という言葉を聞いたことがありますか?
上場廃止になるとどうなるのか?
1.上場廃止とは?
結論から言いますと、上場廃止になると、証券取引所で、自由に売買が出来なくなります。
つまり、流動性が下がります。
「上場」とは、株式などが、証券取引所で売買の対象となることです。
つまり、株式などを上場することで、自由に売買が行えるようになります。
※売買に参加する投資家に損害を与えないように、上場するためには厳しい審査基準をクリアする必要があります。
「上場廃止」とは、その反対です。
自由に売買できる状態(上場)を「廃止」するのですから、自由に売買できなくなるようにすることを、
上場廃止
と言います。
2.なぜ上場廃止になるのか?
では、なぜ上場廃止になるのでしょうか。
そもそも、誰でも、どんな会社でも上場できるわけではありません。
株式単位数、時価総額、株主数、事業継続年数、利益額などの厳しい基準を満たし、投資家に安心して売買してもらえる、と認められなければ、上場することはできません。
上場廃止になるケースとしては、大きく2つに分けられます。
自主的に上場廃止にする
のか、
上場廃止にさせられる
のかです。
自主的かどうか、で上場廃止のパターンが異なります。
3.上場廃止の具体例
上場廃止には大きく2つのパターンがある、と言いました。
以下、それぞれを説明します。
3-1.自主的に上場廃止する場合
経営者が、思い通りに経営するために上場廃止するパターンです。
上場のメリットとして、資金調達しやすい点が挙げられますが、デメリットとしては、経営の自由度が制限される、という点があります。
つまり、株主の意見を無視した経営はできなくなるのです。
そこで、経営者が、自ら、自分の会社の株を買い取り、上場廃止して、非上場企業になる、という方法が取られることがあります。
この方法により、例えば利益重視の株主の意見に縛られることなく、広く社会に貢献するような会社経営を行うことができる、というメリットがあります。
(マネジメント・バイ・アウト、「MBO」と呼ばれる方法です。)
上場廃止したからと言って、今後、二度と上場できなくなるわけではありません。
上場基準を満たしていれば再上場することもできます。
3-2.上場廃止にさせられる場合
次は、自らの意思ではなく、上場廃止にさせられるケースです。
先ほど上場するためには厳しい基準がある、と言いました。
その一方で、上場廃止にも基準があります。
つまり、投資家が安心して売買できるような状態にない、と判断された場合は、上場廃止にさせられます。
上場廃止基準は各証券取引所により異なりますが、東証1部及び2部の場合は、次のような項目があります。
株主数、流通株式数、時価総額、売買高、法定開示義務違反、上場契約違反 など
そして、上場廃止基準に該当するケースの究極の場合は、「倒産」です。
倒産した場合は、会社自体が消滅しますので、上場廃止となります。
4.いきなり上場廃止になるのか?
自主的に上場廃止にする、または、上場廃止基準に抵触してしまうケースなどがあるわけですが、
明日から上場廃止です
と言われたら困りますよね、
一般的に上場廃止になると、自由に売買できなくなるというデメリットがあるため、株式の価格は下がる傾向にあります。
明日から、と言われては突然、損失が発生、ということになってしまいます。
それを防ぐため、
まず、
上場廃止基準に該当しそうな銘柄は、
「監理銘柄」に指定されます。
監理銘柄に指定されることで、
上場廃止になる恐れがある
と投資家にアナウンスします。
(株式の売買は可能です。)
次に、上場廃止が決定すると
「整理銘柄」に分類されます。
一定期間の売買は可能ですが、その後、上場廃止となります。
監理銘柄に指定、整理銘柄へ分類、一定期間経過後に上場廃止、というステップが踏まれるため、投資家が売却処分を検討する時間は確保されています。
つまり、保有している株式の銘柄がいきなり上場廃止になる、といったことは起こりません。
MBOなどによる自主的な上場廃止の場合には、証券取引所の判断ではなく企業の判断により上場廃止が決定するため、監理銘柄には指定されません。
上場廃止が決定した場合、整理銘柄に分類され、その後、上場廃止となります。
5.上場廃止にも種類がある
いかがでしたでしょうか。
「廃止」という言葉からは、マイナスなイメージを受けますが、必ずしも後ろ向きな上場廃止ばかりではありません。
経営者が、自分の理想を達成すべく、上場廃止を決断する場合もあります。
また、上場というのは、投資家が安心して売買できる状態にすることでもあります。
ですから、上場廃止が決定したら、即、上場廃止、ではなく、
監理銘柄に指定
整理銘柄に分類
という手続きを経て、最終的に上場廃止されるようになっています。