適時開示とは何でしょうか?
定義から始まり、周辺知識まで、簡単に解説しています。
1.適時開示とは?
適時開示とは何でしょうか。
定義はこちらです。
(出典:デジタル大辞典)
ポイントとしては、
「投資者」向けの情報
「上場会社の義務」
「金融商品取引所の規則」
という点です。
「投資者」が、株式投資をする会社を選ぶためには、何らかの情報が必要です。
そして、投資をしてもらう会社からすすれば、「投資者」のために、その投資判断のために必要な情報を提供すべき立場にあるのです。
つまり、
投資してくれる人に対して、
投資してもらう立場の企業が、
必要な情報を、
タイムリー(適時)に、
提供(開示)する
という制度が適時開示です。
適時開示は法令ではなく、証券取引所の規則に基づき、義務付けられているものです。
(法令で義務付けられているものは、別に「法定開示」と呼ばれる制度があります。)
2.どんな情報が適時開示の対象になる?
では、どのような情報が、適時開示の対象になるのでしょう。
適時開示が必要となる対象としては、証券取引所の規則により、大きく3つの情報が開示対象とされています。
それは、
決定事実
発生事実
決算情報
の3つの情報です。
それぞれ簡単に説明すると、次のような内容です。
ポイントは、
会社が決めたことかどうか
ということです。
(会社の意思決定によるものか否かです。)
決定事実とは、
会社が決めたこと
のことです。
(例えば、合併、買収、株式発行、社長交代などです。)
発生事実とは、
会社が決めたことではないが起こってしまったこと
ということです。
(例えば、災害に起因する損害、訴訟の提起、行政による処分 などです。)
もう一つは、会社の売上等や業績予想の修正などの、
決算情報
となります。
ただ、上記の3つに該当しない場合でも、
適時開示の対象となる場合があるように、証券取引所の規則に定めがあります。
これは
バスケット条項
と呼ばれるもので、具体的には、規則に規定されていなくても、
重要な事実であって、
投資者の投資判断に著しい影響を及ぼすもの
については、適時開示の対象とする、という条項です。
反対に、決定事実や発生事実に該当しても、ある一定のレンジに達していない場合など、適時開示の対象から外すことができる基準もあります。
(軽微基準と言います。)
3.法定開示とは?
これまでの開示は、証券取引所の規則に基づくものでした。
先ほど、法令に基づく開示として、
「法定開示」
もある、と説明しました。
この「法定開示」とは、どのようなものなのでしょうか。
定義です。
(出典:証券取引用語辞典)
法定開示のポイントとしては、
法律により義務付けられている(金融商品取引法と会社法)
提出先は内閣総理大臣
提出物は有価証券報告書、四半期報告など
という点です。
これらの提出された情報は、提出先のみが利用するわけではありません。
法令に基づき提出された書類(有価証券報告書など)は、インターネットを通じて、誰でも閲覧することができます。
ちなみに、提出にあたっては、金融庁が管理しているEDINETという電子開示システムを通じて提出がされます。
4.任意開示とは?
これまで説明してきた、会社法や金融商品取引法などの法令などによって要請されている「法定開示」、金融商品取引所の規則などによって上場会社に義務付けられている「適時開示」のほかに、「任意開示」と呼ばれる情報開示があります。
任意開示とは、法律・規則等で開示を求められてはいないものの、企業が任意でIR等を1 目的として自らの判断で行う情報開示のことです。
任意開示の例としては、決算説明会資料やアニュアルレポート、IRレポートなどがあります。
5.開示される情報の具体例
【企業が行うもの】
・適時開示
適時開示資料
決算短信
コーポレート・ガバナンス報告書
株式等の大規模買付行為に関する対応策
・法定開示
有価証券報告書
四半期報告書
招集通知
内部統制報告書
臨時報告書
意見表明報告書
・任意開示
決議通知
株主通信
決算説明会資料
アニュアルレポート
【投資家が行うもの】
・全て法定開示
公開買付届出書
公開買付報告書
大量保有報告書