配当とは、会社が稼いだ利益の一部を、会社の所有者である株主に対して支払う金銭等のことです。
証券取引所に上場されているリートも配当に相当するものはありますが、
配当
ではなく、
分配金
と言います。
1.配当金と分配金の違い
配当金と分配金の違いを詳細に見ていくと、とても難しいです。
リートへの投資を考えているのであれば、とりあえず、次の違いだけを、抑えておくのでも良いと思います。
配当金は株式投資のリターン
分配金は投資信託のリターン
ということです。
配当金は、株式投資を行った企業の利益の一部です。ですから、企業から支払われます。
分配金は、投資信託の運用成果として、投資家に対して分配するものです。
ここから下は、リートへの投資であれば、読みとばしても大丈夫です。
厳密に言えば、分配金は投資信託の純資産から支払われるため、支払い後の基準価格(投資信託の純資産総額を投資口数で割ったもの)が下がります。
しかし、リートの場合は、分配金の元となるのは賃料収入や売却して得た利益なので、分配金の支払い後に、純資産総額が減ることはありません。
どちらかと言えば、分配金の上昇による投資家の評価が良くなる、という効果を見れば、株式の配当金に近いと思われます。
2.リートの分配金
リートの分配金の特徴として、
税金などの余分なものが引かれない
ということが挙げられます。
リートとは、
自分のお金を
プロが
不動産投資によって
増やしてくれる
という仕組みのことです。
そして、プロが増やしてくれた成果として受け取るお金を、
分配金
と言います。
分配金は決算時に支払われます。
リートの決算とは、リートの半年間の運用成果を確定することです。
(1年単位で行うリートもあります。)
日本版不動産投資信託(J-REIT)では、年に2回決算を行なっている場合が多いです。
年2回の決算であれば、当然、分配金も年2回の受け取りになります。
一般的な株式会社などでは、会社の利益の一部として、配当金が投資家(株主)に対して支払われます。
ただし、その配当金は利益をまるまる支払われるのではなく、法人税などの税金と「内部留保」と呼ばれる利益の溜め込み部分を除いた残りから支払われます。
この点でJリートは
収益の90%超を分配すれば法人税が実質かからない
さらに、
仕組み上、内部留保ができないので実際には利益のほぼ100%近くが分配される
という点で株式投資とは異なります。
このような意味で、リートの分配金は、
余分なものが引かれない
仕組みになっているのです。
3.分配金は安定的かつ高水準
Jリートの分配金は、株式投資の配当金に比べて、
安定的、かつ、高水準である
とも言えます。
その理由は先ほども言ったように、利益のほぼ100%が投資家に分配される仕組みにあります。
通常、株式投資は株価の変動のよる売却益(キャピタルゲイン)が主なリターンとなります。
配当金による定期的なリターン(インカムゲイン)もありますが、主に着目されているのはキャピタルゲインです。
Jリートの場合も、株式投資と同様、決算期ごとに配当される分配金によるリターン(インカムゲイン)があり、また、Jリート投資口価の変動による売却益(キャピタルゲイン)が投資のリターンです。
株式投資における配当金と、Jリートの分配金は、どちらもインカムゲインです。
ただし、先ほどから説明しているように、両者には法人税や内部留保の影響による差異があります。
つまり、法人税や内部留保の影響がないJリートの分配金の方が、株式投資の配当金よりも投資効率が良くなる傾向があります。
実際に、配当込みの指数で比較すると、東証REIT指数はTOPIXを大きく上回る結果になっています。
Jリートのリターンを考えるうえで、分配金によるインカムゲインは重要なウェイトを占めている、ということです。
4.分配金が影響を受ける要因
株式投資における配当金は、経営者がどれだけ配当するかという考え方と、会社の業績に影響を受けます。
では、Jリートの分配金は、どのような要因による影響を受けるのでしょうか。
投資法人は、法人税が実質無税で内部留保もないため、当期純利益がほぼそのまま分配金となります。
分配金のもとになる当期純利益は、
賃貸事業利益 ± 売却損益 – 販管費 – 支払利息 = 当期純利益
という計算式が成り立ちます。
この式のうちの、
支払利息
とは、借りているお金に対する利息です。
これは、借入金が少なければ、支払利息が少なくなり、分配金も増えます。
また、借入金利が低ければ低いほど、支払利息が少なくなり、分配金が増えることになります。
ほかに分配金に大きく影響を与えるのは賃貸事業利益です。
収入で最も大きいものは、賃料収入です。
賃料アップさせることで、分配金を上げる効果があります。
また、費用の中で影響が大きいのは修繕費です。
通常稼働の場合はそこまで影響はありませんが、地震などの被害にあった時は、復旧費用として修繕費が必要となります。
その場合、金額の大きさによっては、分配金を減らす影響を与える場合があります。
5.まとめ
いかがだったでしょうか。
一般の株式投資における配当金は、投資信託の場合には分配金と言います。
主な意味は、投資のリターン、という点では共通しています。
中でもJリートの分配金は、賃料収入等が根拠になっており、実質的に法人税がかからないこと、また、原則として内部留保もしない仕組みになっていることから、株式投資の配当金と比べると、高い水準になります。
つまり、Jリートは、インカムゲインの点で、株式投資よりも稼げる、と言えます。