不動産投資、という投資方法は、昔に比べると一般化してきました。
その一方で、プロではないサラリーマン投資家を狙った偽装工作などが問題になっています。
実は、そんな偽装工作などは、「利回り」をごまかすために行われていたのです。
不動産投資で「利回り」とは、非常に重要な概念です。
この記事では、利回りのことを知らない方にも、とっつきやすいような書き方で、不動産価格の利回りを解説しています。
1.利回りをイメージから勉強〜注意点も一緒に分かる〜
利回りとは、何でしょうか。
結論から言うと、
収入 ÷ 価格
です。
意味を見ると、
その不動産を買ったら、どれくらいの収入があるか、というパラメーターです。
利回りは割合のため、「%」として表示されます。
利回りは、
どのくらいの収入があるか
という割合なので、当然、高い%の方が儲かるので、喜ばれます。
つまり、5%より10%の方が良くて、10%よりも20%の方が良いわけです。
ここは、当たり前のようですが、非常に重要なところです。
利回りは高いほど儲かる
という風に覚えておいて下さい。
2.利回りを家賃からイメージ
それでは、おそらく多くの方が知っている、
賃貸物件
で利回りをイメージします。
賃貸物件を借りたら、オーナーに家賃を払います。
この家賃がオーナーの収入となります。
家賃は月額?それとも、1年分?
これは、1年分を使うのが常識となっています。
理由は、
みんな使っているから
です。
みんなが使っている、
イコール
比べられるからです。
そこで、他の物件と比べるために、主に2種類の利回りが使われています。
グロス利回り(表面利回り)
と
ネット利回り(実質利回り)
です。
不動産投資のプロは、
キャップレートとか、IRRなどという本格的な利回りを使って分析をしますが、
一般的な不動産投資家は、
グロス利回りとネット利回りで分析していることがほとんどです。
3.グロス利回りとネット利回り
グロスとネット、と言われて、すぐにイメージできる方はなかなかいないと思います。
ここは、分かりやすく、シンプルに説明するため、無理矢理一言で表すと、
理想と現実
ということです。
そして、
理想が、グロス利回り
現実が、ネット利回り
だと思って下さい。
なぜなら、グロス利回りは、空き部屋なんて関係なく、
もし満室で稼働していた場合の家賃を、
価格で割ったものだからです。
つまり、理想的な利回りですよね。
もし、満室だったら、これくらい儲けることができる
という%が、グロス利回りです。
でも、空いてる部屋からは、実際は家賃もらえませんよね。
また、家賃をもらっても、固定資産税だとか、保険に入ったりだとか、壊れた所を直したりだとか、色々と出費があるはずです。
これらの、
マイナスを反映した利回り
が、
ネット利回り
です。
つまり、理想的なグロス利回りではなく、現実的にマイナスや費用までも計算した利回りになります。
というか、グロス利回りは理想上の利回りだから、基本的にネット利回りだけで考えた方が良いのでは?
と考える方もいるかと思います。
まさに、その通りで、理想を表したグロス利回りだけに捉われると、大抵は失敗します。
なぜなら、現実的な空室のマイナスが反映されていないからです。
しかし、そうかと言って、全ての物件をネット利回りで分析するのも大変なんです。
ネット利回りは空室の計算や費用の見積もり、計算など、手間がかかります。
ですから、大量の物件から目星をつけたい時などは、
賃料 ÷ 価格
というシンプルなグロス利回りが良く使われています。
(計算の手間が少ないからです。)
4.利回りの使い方
では、利回りはどのように使うのでしょうか。
先ほども説明しましたが、グロス利回りとネット利回りでは、長所と短所が異なります。
グロス利回りは計算の手間がかかりませんが、最終的な意思決定には向きません。
ネット利回りは、実質的な収入割合が分かるため、最終的な意思決定に向いていますが、計算に手間がかかります。
ですから、各利回りの使い方として、
①グロス利回りで、沢山の物件の中から、数件を絞り込む
②ネット利回りで、細かくチェックする
というのが、それぞれの短所を補う利回りの使い方です。
5.利回りの見方〜高ければよいのか?〜
利回りは価格に占める収入の割合、と説明しました。
当然高ければ高いほど良いのですが、利回りの高さだけで全てを判断するのは危険です。
どんな投資でも共通しているのですが、
ハイリスク・ハイリターン
という考え方です。
つまり、
利回りが高い
リターンが大きい
リスクが大きい
ということです。
また、投資額の回収についても考えてみて下さい。
例えば、ネット利回りが20%の場合、5年で100%になります。
つまり5年で投資額の分の家賃収入を獲得できる、ということになります。
同じく、ネット利回りが10%の場合、10年で100%となります。
つまり、10年で投資額を回収することができる、ということです。
投資額は回収してからが、実際の儲けになります。
利回り20%でも5年でようやくトントン、というのでは、意外に儲からないな、と思う方もいるでしょう。
ところが、不動産には家賃以外にも、
「キャピタルゲイン」
という儲けがあります。
買った時よりも高く売って、売却益を得ることができます。
この売却益が、「キャピタルゲイン」です。
(これに対して、家賃収入が「インカムゲイン」と呼ばれるものです。)
スロット好きな人ならお分かりになると思いますが、
「インカムゲイン」がATで、
「キャピタルゲイン」がビッグボーナス、というイメージです。
6.まとめ
いかがでしたでしょうか。
不動産投資で良く使う利回りには、主に2つあります。
グロス利回りとネット利回りです。
分かりやすく言うと、
グロス利回りは「理想」で、
ネット利回りは「現実」です。
それぞれには長所と短所がありますので、上手く使いこなしましょう。