財産分与における不動産価格の求め方とメリット・デメリットとは?

不動産売却
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財産分与で問題になるのは不動産価格です。不動産価格で揉めると調停などが長期化してしまいます。

 

財産分与の際はどのように不動産価格を把握すべきなのでしょうか。

1.その不動産価格で財産分与して本当に大丈夫ですか?

 

 

自分の身は自分で守る意識が大切です。

 

財産分与では、必ずといっていいほど、不動産価格で揉めるそうです。

 

なぜかと言うと、当事者お互いの利益のための価格が使われることが多いためです。

(現金を支払う側は低い価格を望み、もらう側は高い価格を望みます。)

 

 

不動産価格と財産分与というキーワードで検索すると、無料一括査定など、不動産業者の査定価格を使用することを勧めるサイトが多いですが、本当にそれで良いのでしょうか?

 

また、固定資産税評価額などを使って、自分で価格を計算する方法も紹介されていますが、本当に大丈夫ですか?

 

不動産業者は仲介手数料が手に入れば、協力するでしょうが、もし、売買しない、と言ったら本当に真剣に協力してくれるでしょうか。

 

2.財産分与の不動産価格にまつわるリスク

 

 

財産分与を行う時の不動産価格に関連するリスクとして、主に以下の2点が考えられます。

 

・調停等が「長期化」するリスク
・低額譲渡として課税されるリスク

 

以下、それぞれ解説します。

 

2-1.調停等が「長期化」するリスク

 

 

もし、不動産価格で全く折り合いがつかなくなってしまえば、当然ながは、調停等は非常に長引きます。

貴重な時間を調停等のために費やし、会社も何度も休まなくてはなりません。

 

もし、長期間、解決しない状態が続けば、大きなストレスになりますし、子供にとってもあまり良いこととは言えないでしょう。

 

 

 

2-2.税務署に突っ込まれるリスク

 

もし折り合いがつかなかった不動産価格が、長期間の調停等で決定したとしましょう。

 

やっと解決した

 

と手放しで喜ぶのは、実はまだ早いのです。

 

 

なぜなら、調停等で話し合いがついた不動産価格が、時間と認められないこともあるからです。

 

つまり、

 

安い価格で譲渡した

 

と税務署にみなされ、個人の場合であれば、税率の高い贈与税がかけられる可能性もあります。

 

3.そもそも財産分与とは?

 

 

そもそも財産分与とは何でしょうか。

 

 

3-1. 財産分与の意味

 

 

離婚した夫婦の一方が、他方に対して財産を分与すること。

(出典:コトバンク)

 

 

財産分与とは、夫婦が結婚している間に、二人で協力して得た財産を、離婚時にお互いで話し合いの上、分けることです。

 

もし、当事者間の話合いがまとまらない場合などには、家庭裁判所に調停又は審判の申立てをして、一方の相手方に対して財産分与を求めることができます。

(申立ができる期間は、離婚の時から2年以内です。)

 

 

3-2. 財産分与の対象になるもの

 

 

財産分与の対象になるものは以下のようなものがあります。

 

・不動産
・美術品
・自動車
・ 現金
・株
・退職金や年金、生命保険金
・借金(住宅ローンなど)

 

上記については、夫婦どちらの名義であるかは関係ありません。

 

例えば、自宅が夫名義、つまり所有権が夫単独で登記されている場合でも、財産分与の対象となります。

 

 

3-3. 財産分与の対象にならないもの

 

 

一方で、全ての財産が財産分与の対象になるわけではありません。

 

例えば以下のものが挙げられます。

 

・ 結婚前から所有していた財産
・相続や贈与で取得した財産
・日用品
・一部の借金(ギャンブルなどを原因とするもの)

 

 

4.不動産価格の求め方と注意点

 

 

ここでは不動産価格の求め方と、その注意点を解説します。

 

 

また、具体的や不動産価格の計算方法などは、こちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧下さい。

 

財産分与の際に、不動産価格の調べ方として良く紹介されているのは、以下の3つです。

 

①固定資産税評価額

②不動産業者の査定価格

③不動産鑑定評価額

 

 

これら3つについてのメリット、デメリットをそれぞれ解説します。

 

ポイントとしては、

 

 

費用を削減して自分自身で頑張るか

費用を払って安心するか

 

 

という選択に尽きると思います。

 

 

①固定資産税評価額

 

 

固定資産税評価額は、所有している不動産であれば、毎年、納税通知書が送られてきます。

その納税通知書に記載されている土地と建物の評価額をもとに、自分で不動産価格を計算する方法です。

 

【メリット】

・費用がかからない

・土地であれば、ある程度正確な不動産価格を計算できる可能性が高い

 

 

【デメリット】

・建物価格は、あくまで課税目的のものであるため、時価の把握ができない場合がある

・説明責任を全て自分自身で負うことになる

・相手方との価格差がある場合、調停等が長期化する可能性がある

・マンションの場合は精度が低く、後日、低額譲渡と判定される可能性が否定できない

(その場合、高い税金を支払うことになる可能性があります。)

 

 

 

 

 

②不動産業者の査定価格

 

 

次に不動産業者の査定価格です。

 

良く「実勢価格」とも言われますが、

 

注意して頂きたいのは、

 

「時価」

 

 

「実勢価格」

 

は全く違うもの、ということです。

 

 

【メリット】

・費用がかからない

・不動産業者に査定してもらうため、そこまで自分の手間がかからない

(ただし、絶対に価格の検証はするべきです。)

 

 

【デメリット】

・不動産業者が売るため・もしくは営業のための価格になる可能性がある(「時価」とは異なる可能性)

・売却を依頼しない場合、積極的に不動産業者が動かない可能性がある

・相手方との価格差がある場合、調停等が長期化する可能性がある

・自分でも価格検証をしないと、後日、低額譲渡と判定される可能性が否定できない

(その場合、高い税金を支払うことになる可能性があります。)

・複数業者の査定価格から選んだ場合、説明責任を自分自身で負うことになる

 

 

 

 

 

③鑑定評価額

 

 

鑑定評価額は、不動産価格のプロであり、裁判等でも使用される客観的な不動産価格を出せる唯一の資格者である不動産鑑定士による不動産価格です。

費用は物件の複雑さにもよりますが、数十万円、という単位の費用がかかります。

 

【メリット】

・客観的な「時価」のため、話し合いがスムーズに解決する
・不動産鑑定士が作業するため、自分の手間が少ない
・調停等が長期化する可能性は少ない
・後日、低額譲渡として判定されることがない

 

【デメリット】

・費用がかかる

 

 

 

 

 

 

5.まとめ

 

 

いかがだったでしょうか。

 

説明してきた通り、財産分与では、不動産価格で揉めることが多いです。

 

そして、不動産価格の求め方には、自分で行うものから、費用を払って評価してもらうものまで、いくつかのパターンがあります。

 

 

ただ、基本的なポイントとしては、

 

費用をかけたくないなら、全て自分自身で説明できるようにするべき

 

ということと、

 

安心したい・調停等を早く終わらたい、というつもりがあるなら、費用をかけるべき

 

という2点が挙げられます。

 

 

つまり、費用もかけずに、安心できるような、そんな夢みたいな方法は存在しない、ということです。

 

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