共有?共有持分と共有名義と区分所有に敷地権?違いは何?

不動産情報コラム
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共有とは、

 

一つの物を数人で所有すること

 

です。

 

それぞれが所有する割合を割り当てられます。この割合のことを共有持分、と言います。

 

不動産も共有することができます。

 

不動産の共有の例としては、分譲マンションが挙げられます。

(何を共有しているのかは、後ほど書きます。)

 

共有の話になると、次のような用語が出てきます。

 

「共有名義」
「共有持分」
「区分所有権」
「敷地権」
「敷地利用権」
「準共有」

 

などです。

 

この用語たちが、それぞれが意味を持っています。

 

一見、面倒くさそうに見えますが、順を追って考えれば、スムーズに理解できると思います。

 

1.共有と区分所有

 

 

共有とは、先ほども書いた通り、

 

一つの物を、複数人が、共同で、割合的に所有すること

 

です。

 

 

では、共有に関連する用語である「区分所有」とは、どのような意味を持っているのでしょうか。

 

無理矢理、一言で言えば、区分所有とは、

 

区分された一つの物を、一人で所有すること

 

です。

 

 

一人で所有するので、明らかに共有とは違います。

 

では何故、わざわざ「区分」という言葉をつけるのか。

 

「区分所有」という言葉の間に言葉を埋めて、意味を確認してみると分かりやすいです。

 

 

区分所有とは、

 

「区分」された一つの建物を一人で「所有」すること

 

です。

 

 

つまり、「区分」されるのは土地ではなく、「建物」です。

 

「建物」を「区分」する、とはどういうことでしょうか。

 

区分とは、

 

くぎって分けること。区別していくつかに分けること。区分け。

 

です。
(出典:コトバンク)

 

「区分」された「建物」の例としては、マンションが挙げられます。

 

では、マンションであれば、全てのマンションが区分所有と言えるか。

 

答えは、「No」です。

 

例えば分譲マンションはどうでしょう。

 

部屋が一つ一つ区切られて、それぞれが販売されてます。

それぞれの部屋に、それぞれの所有者がいます。

 

「区分」された「建物」を、それぞれが所有している。

 

つまり、分譲マンションの所有形態は「区分所有」と言えます。

 

では、賃貸マンションはどうでしょう。

 

部屋自体は区分されています。

ただ、ほとんどの場合、賃貸マンションの所有者、つまりはオーナー、大家さんは一人です。

 

この場合「建物」は「区分」されていますが、それぞれの部屋に所有者がいる訳ではありません。

 

つまり、「区分」された「建物」を所有しているのではなく、賃貸マンションという建物全体を所有していることになります。

 

ですから、賃貸マンションは「区分所有」されているものではありません。

2.共有と共有持分

 

 

繰り返しになりますが、「共有」とは、

 

一つの物を、複数人が共同で、かつ、「割合的に」所有することです。

 

 

「割合的に」という部分に注目してみましょう。

 

割合、とは50%とか、3分の2とかで表されるものです。

つまり、全体を100とした時に、どれだけの分を自分が所有しているか、ということになります。

 

そして、この共有持分の割合は、登記簿謄本などには、

 

「1,000,000分の80」

 

などのように、分数として表示されています。

 

また、この場合の分母は、

 

各所有者が所有する建物の面積の合計、であることがほとんどです。

 

(「延床面積」ではありません。「延床面積」とは、各所有者の部屋の外を含めた面積だからです。例えば、外の廊下や、マンションのエントランスなどです。)

3.共有と共有名義

 

 

住宅購入時には、「共有名義にする」とかいう話を良く聞きます。

 

そもそも、「共有名義」とは何でしょうか。

 

辞書などの定義です。(出典:コトバンク、デジタル大辞典)

 

 

名前。特に、書類などに所有者・責任者などとして表立って記される名前。

 

分かりやすいですが、「共有」というキーワードにフォーカスしてみると、

 

 

法律上の行為の主体、または権利義務の主体として表示されている名称。

 

という定義がいいのかな、と思います。

 

つまり、不動産(1戸建や分譲マンションなど)を「共有名義」で購入する、ということは、単なる表面上の名前、ということではなく、法律などによって、罰せられたり、逆に守ってもらったりする対象になる、ということです。

 

何故かというと、登記簿に所有者の名前が記載されるからです。

 

登記簿は、お金を払えば、誰でも入手可能です。

 

つまり、不動産を共有名義で所有している(つまりは、共有している、ということ)は、世間に対して公表されている、とも言えると思います。

 

不動産を共有するための「共有名義」とは、無理矢理一言で言えば、

 

一つの不動産に対する法律上の責任などを、複数人で負担している状態

 

とも言えるかと思います。

4.共有と敷地利用権

 

 

前の方で、不動産の共有の具体例として、分譲マンションを挙げました。

 

その一方で、分譲マンションは区分所有の具体例そのものだ、とも書きました。

 

実は、どちらも正解です。

 

分譲マンションの建物部分は区分所有ですが、土地は共有となります。

 

正確に言うと、土地は「敷地利用権」の共有になります。

 

なぜ、「敷地利用権」というのか。
なぜ、土地は「区分所有」ではないのか。
また、なぜ共有なのか。

 

まず、1戸建を想像してみて下さい。

 

土地に建物が建っています。

 

逆の言い方をすると、建物を建てるには土地が必要です。

 

敷地とは、建物を建てるための土地のことです。

 

つまり、マンションにも敷地は必要です。

 

ただ、1戸建は分かりやすいですね。
1つの建物が、1つの土地の上に建っています。

 

分譲マンションの場合は、一つの土地の上に、数十個から数百個の区分された建物が建っています。

 

もし、厳密に、建物に合わせて、土地も区分しよう、としたら、どうでしょう。

 

部屋の真下の土地を区切りますか?

 

そうすると、例えばタワーマンションなんかだと、2階から30階までが同じ土地の区切りになります。

 

どうやって、同じ土地の区切りを、さらに2階から30階に分ければいいのでしょうか。

 

区切り方のルールも決めなければいけません。
マンションによってバラバラだと、混乱が起きますよね。

 

ここは一つ、費用対効果で考えてみて下さい。

 

土地を厳密に建物に合わせて区分する方法のと、いっそのこと1つの土地をみんなの共有にしてしまう方法があったら、どっちがコスパが良いでしょうか。

 

共有にしてしまう方が、分かりやすいし、共有持分を決めるだけで良いですよね。

 

逆に、共有にすることでデメリットはあるでしょうか。

 

ここから、ここまでが自分の敷地だ、っていうことを他人に言えない………

 

自分一人の土地が欲しい………

 

もし、そう思う方がいたら、1戸建を買った方が良いですね。

 

マンションは、立地や駅までの距離、部屋からの眺望などを気に入って買う人がほとんどです。

 

土地が共有だからと言って、気に入ったマンションの購入を止める人が、果たしているでしょうか。

 

共有の方が考え方がシンプルで、かつ、費用対効果も良さそうですよね。

 

このように、分譲マンションのような区分所有の建物の敷地を、共有名義にするための権利を、「敷地利用権」と言います。

 

ちなみに、「敷地権」という用語もありますが、呼び方が違うだけで、中身は同じです。

 

「敷地利用権」が、登記簿に記載される時に、「敷地権」として記録される。
それだけの違いです。

5.共有と準共有

 

 

共有とは、一つの物を複数人が共同で割合的に所有することだ、と言いました。

 

少し言い換えてみます。

 

所有すること、というのは、

 

「所有権」を持っていること

 

と言い換えできます。

 

私個人的には、「共有」という言葉一つあれば良いと思うのですが、法律上、「準共有」という言葉もあります。

 

「準」がつきます。

 

共同で「所有権」を持つことを、「共有」と言います。

 

では、共同で「借地権」を持つことも「共有」というでしょうか。

 

答えは、No、です。

 

所有権「以外」の権利を、複数人で共同で持つことを、先ほどの「準共有」と言います。

 

所有権「以外」の権利で、「準共有」という言葉を使うことが多い権利には、

 

借地権
賃借権
信託受益権

 

などがあります。

 

6.まとめ〜共有物のルールは?〜

 

 

「共有」とは、一つの物を、複数人で共同して割合的に所有することです。

 

共同して所有するのですから、何かルールを決めないといけない、そう考える方もいるかと思います。

 

実は、法律で、そのルールが決まっています。

 

どういうルールかと言うと、他の共有者から許しを得なければ、出来ない行為、が定められています。

 

基準は持分割合と同じように、賛成の割合で判断されます。

 

 

①共有者の100%の賛成が必要な場合

②共有者の50%以上の賛成が必要な場合

③誰の賛成も必要としない場合

 

 

の3パターンあります。

 

 

①の場合としては、「変更」に関係する行為を行う場合です。

 

共有している不動産などを「変更」する場合です。

 

「変更」の具体例としては、

・大規模修繕
・不動産全部の売却

 

が挙げられます。

どれも、共有者の一人に勝手にやられては困るものです。

 

 

②の場合としては、「管理」に関係する行為です。

 

具体例としては、賃貸借契約を締結する場合が挙げられます。

 

共有している不動産を借りたいテナントに対して、賃貸借契約を締結したい場合は、共有者の50%以上(過半数)の同意が必要です。

 

 

③の場合については、使ったり、自分の持分だけを売却する場合が挙げられます。

 

これは、感覚的に納得できますよね。

 

もう一つ、「保存」に関係する行為も、共有者が単独で行うことができます。

 

「保存」と言っても、イメージが湧きづらいと思いますが、具体例としては、妨害排除請求が挙げられます。

 

妨害排除請求とは、所有者でも賃借人でも何でもない、何の権利もないのに、あなた所有の不動産に居座ってしまっている人(不法占拠者など)に対して、

 

「出ていってくれ!」

 

という請求のことです。

 

これは、例えば自分の所有する部分でなくても、他の共有者のために、共有者が単独で出来ます。

 

よくよく考えれば、そういう仕組みであってほしいですよね。

 

以上のように、「共有」には、様々な形態やルールがあります。

 

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