【忙しい方必見!】民法の混同とは?(例えば借地権と底地だったら)

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借地権と底地が同一の所有者になった場合、権利関係はどうなるのか?

地主さんから借りていた土地を買い取って、自分の所有地にした場合、のことです。

自分の土地を自分で使うのですから、当然、「借地」なんてなくなるでしょう、と思っていませんか。

ところが、「借地」のままになることも、あるのです。

 

 

1.借りてた土地が自分のものに………借地権はなくなる?

 

 

建物を建てるために他人から土地を借りた場合、その土地を使う権利のことを、専門用語で「借地権」と言います。

あなたが、もし、地主さんから土地を借りた場合、あなたは借地権を持つ者、ということで「借地権者」と専門用語では呼ばれます。

ここで、あなたが借りているよりも、いっそのこと、自分の土地にしたい、自分の持ち物にしたいと思い、地主さんから土地を購入したとします。

 

その時、もともとあった「借地権」はどうなると思いますか?

以前は、借りていた土地だった。

今は、自分の土地。

 

そもそも、「自分の土地を借りる」なんて考え方自体、意味分かりませんよね。

 

法律上では、このような場合、借地権は消滅することになっています。(当たり前ですが)

 

そして、法律では、このことを「混同」という専門用語で表現しています。

 

ただ、全ての場合が、この「混同」になるわけではありません!

 

 

2.混同の例外1:自己借地権

 

 

「混同」により、借地権がなくならない、ということは、つまり、

 

「自分の土地を自分で借りている」

 

ということです。
(意味が分かりませんよね。)

 

 

感覚として理解する方法としては、まず、なぜ、借地権がなくならない方が良いのか、を考えてみて下さい。

なぜ、わざわざ、意味のない借地権(自分の土地を借りる権利)を残しておく必要があるのか………

 

 

分かりやすい具体例は、借地権付マンションです。

 

借地権付マンションをあなたが建てて、分譲する場合をイメージしてみて下さい。

 

まず、土地を買う。

 

マンションを建てる。

 

 

そのまま販売すると、土地の権利も売ってしまうので、少し安くなるけど、借地権付マンションとして販売したい。

(土地は自分の所有物のままにしたい。)

 

 

この時に使われるのが、販売のために自分の土地に借地権を設定する「自己借地権」と呼ばれるものです。

 

自己借地権は「混同の例外」と言われ、借地権として残り続けます。

 

(ただ、あくまで借地権を他の人と共有するようなケース、つまり上記の借地権付マンションの分譲のようなケースに限定されます。)

 

 

3.混同の例外2:借地権と底地の同時信託

 

自己借地権以外にも、例外はあります。

借地権と底地の同時信託です。

 

3-1.信託って?

 

信託?

信託とは、プロに自分の財産を管理してもらうことです。もちろん、無料ではなく、手数料は払います。

財産、例えば不動産の管理をお願いした場合、不動産の賃料収入はあなたの収入です。

プロに対しては手数料を支払うだけです。

 

 

これが信託です。

 

 

3-2.信託で出てくる3人の登場人物

 

 

信託では3人の登場人物が出てきます。

 

 

管理をお願いする人のことを「委託者」

管理をお願いされる人のことを「受託者」

 

 

実は、委託者と受託者だけでなく、もう一人います。(少しややこしいですが………)

 

先程の不動産を信託した場合のことを思い出して下さい。

 

賃料収入はあなたの収入、つまり、委託者の収入になります。

 

ここで、信託の場合、賃料収入をもらう人を別々にできます。

 

分かりやすく言うと、おじいちゃんが、自分の孫のために不動産を信託するケースです。

 

委託者はおじいちゃんになりますが、賃料収入をもらうのは孫になります。

 

この賃料収入(つまり、利益です。)をもらえる権利を持つ人のことを、「受益者」と言います。

 

 

3-3.借地権と底地を同時に信託するとどうなる?

 

 

借地権と底地を同時信託するとどうなるか?

 

この同時信託の意味は、「同じ受託者に、それぞれ信託手続きをする」という意味です。

 

ここでは受託者は一般的な信託銀行を想像して下さい。

 

信託銀行に、借地権と底地を同時に信託すると何が起こるのか。

 

信託銀行が借地権と底地の権利を持つことになります。

つまり、自分で自分の土地を借りている、意味のない状態になるのです。

 

まさに、「混同」により、借地権が消滅………しないんです。

 

 

3-4.信託したら所有者は誰か

 

 

そもそも、なぜ、不動産を信託した場合、「受託者」が所有者になるのか。

 

(上の例では、信託銀行が借地権と底地のどちらの権利も持つ、つまり、その土地の所有者になります。)

 

これは、所有者になれば、管理する上の効率的だから、と何となく思っておけば、分かりやすいと思います。

 

例えば、不動産を管理する場合、賃貸借契約や管理のための契約を、わざわざ、あなたの名前で契約していたら、面倒くさいですよね。

 

また、固定資産税は所有者宛に請求書が来ます。自宅に届いた請求書を、いちいち信託銀行に送るのも手間ですよね。

 

そんな時、受託者が所有者になってくれたら、受託者名義で契約手続きはしてくれるし、固定資産税の請求書も受託者のところに直接送られるので手間要らずです。

 

(ちなみに、もし、勝手に契約なんかして欲しくない、っていう時は、信託契約で制限することもできます。)

 

3-5.借地権と底地の同時信託で、借地権が消滅しない理由

 

 

では、なぜ、借地権と底地の同時信託で、借地権が消滅しないのか。

借地権と底地の権利は受託者が持つことになるのだから、借地権の意味はなくなるようにも思えます。

 

ここで、思い出して下さい。

賃料収入をもらえる人のことです。

 

「受益者」です。

 

例えば、確かに受託者が借地権と底地の権利を一人で持っていたとしても、受益者はどうでしょうか。

二人かもしれませんよね。

 

また、信託の時に受託者が所有者になるのは、あくまで管理上、効率が良いためで、形式上のものです。

 

信託では、実質的な、真の所有者は受益者と考えられます。

 

ですから、借地権と底地が一人の受託者が権利を持ったとしても、借地権の意味はなくならないのです。

 

受益者が別々だったら、借地権はなくさない方が都合がよい、ということです。

(注意点:借地権者と地主が、一つの信託契約で信託する場合は借地権がなくなることもあるようです。)

 

 

4.借金の担保になっていても、借地権はなくならない

 

 

※民法179条第1項(混同)

同一物について所有権及び他の物権が同一人に帰属したときは、当該他の物権は消滅する。ただし、その物又は当該他の物物権が第三者の権利の目的であるときは、この限りでない。

 

 

もし、借地権と底地が、一人の所有者にまとまった場合。

何回も出てきますが、土地を借りている人が、地主さんから土地を買う場合です。

 

この場合、普通であれば借地権は混同によってなくなりますが、もし、この借地権が借金の担保になっている場合は、借地権はなくなりません。

つまり、借地権に抵当権が設定されている場合は、混同の例外に当たり、借地権はなくなりません。

 

その理由はなぜでしょうか。

 

それは、お金を貸した人が大損するからです。

 

簡単に言うと、Aさんが、Bさんから土地を借りているとします。

 

Aさんは借地権者、Bさんは地主です。

 

Aさんは、借地権を担保にして、Cさんからお金を借りていることにしましょう。

(担保=抵当権だと思って下さい。つまり、Cさんは、Aさんがお金を払えない場合、Aさんの借地権を換金することができます。)

 

ここで、Aさんが、Bさんから土地を買うと、Aさんの借地権は意味がなくなる、自分の土地を自分で借りていることになるので、借地権はなくなります………………ということになると、困るんです。

なぜなら、Aさんは、わざとBさんから土地を買って、Cさんの借金をなくすことができるからです。

 

そんなことが許されると、Cさんがしらないところで、勝手に自分の借金が消されるようなことが起こってしまいます。

 

法律は、そういう不公平なことが起きないように作られています。

 

 

5.まとめ

 

 

今までのことをまとめます。

 

土地を借りる権利のことを「借地権」、

 

地主が貸している土地は「底地」と言います。

 

 

もし、借地権と底地が、一人の所有物になると、借地権は意味がなくなるので消滅します。
(自分の土地を、自分で借りていることになる。専門用語で「混同」と言います。)

 

 

ただ、例外があります。

 

借地権を残しておくことに意味がある時や、なくなってしまうと困るようなことがあれば、「混同の例外」として、借地権は消滅しません。

 

具体例としては、

 

・自己借地権
・借地権と底地の同時信託
・借地権に抵当権が設定されている時

 

です。

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