固定資産税と都市計画税には、いろいろと減税対策がされています。
例えば、新築住宅の場合、一定期間、少ない税金で許される、といった具合です。
最近、物流施設が流行っていますが、この物流施設にも、固定資産税と都市計画税の減税対策があります。
(この記事は執筆日現在の法律等に基づいています。)
目次
1.ある条件を満たした物流施設は、固定資産税が減税される
固定資産税・都市計画税が減税される物流施設。
それは、「物流総合効率化法」の認定を受けた物流施設です。
(地方自治体によっては、別途、新築建物等の固定資産税・都市計画税の優遇措置がある場合があります。)
認定を受けた場合、さまざまなメリットがありますが、その中でも、不動産のキャッシュフローに関するメリットとして、
固定資産税と都市計画税が5年間半額
(一部異なる部分もあります。)
になります。
(ただし、別途決められた期限までです。つまり、最長で5年、ということです。)
2.認定のための要件で注意すること
認定をもらうためには、一定の要件を満たしていると認めてもらうことが必要です。
その中でも、特に重要なのが、
ということです。
つまり、単独実施は不可能です。
最低でも2社以上が連携して行う事業であることが必要になります。
また、その他にも、固定資産税と都市計画税の減税のためには細かい決まりごとがあります。
例えば、倉庫は半額だけど、ある設備は25%オフだったり、などです。
細かい決まりごとをクリアし、建物の竣工までに認定を受ければ、晴れて固定資産税と都市計画税が減税されます。
3.認定までの手続き
認定までには、最寄りの運輸局への事前相談から始まり、具体的な事業計画を作成したり、各種申請用紙を作成して、審査を経た上で、認定となります。
(申請から認定までの期間は約2ヶ月が目安のようです。)
4.制度ができたきっかけは「人手不足」を「効率的」に解消するため
最近はネットショッピングの増加などで、トラックドライバーの不足や過重労働問題など、人手不足がさまざまな問題を引き起こしています。
物流施設は、長期間の安定的な賃料収入と、マルチテナント化による汎用性の確保が出来れば、魅力的な投資対象になります。
そのため、近年、開発事業者が増加し、物流施設へ投資するプレイヤーが増えています。
一方で、上記のような問題により、宅配料の値上げや、働き方改革などの問題も出てきています。
そこで、このような状況を踏まえ、国土交通省が、「労働力の確保」を目的の一つとして、2社以上の事業者が連携することを条件として、「効率的」な物流を実現するために、法改正を行なったのです。
5.効率化計画の半数が「モーダルシフト」
国土交通省が公表したところによると、総合効率化計画の約半数は、「モーダルシフト」が占めているようです。
モーダルシフトとは何か。
一言で言えば、
「輸送手段の転換」
です。
つまり、従来、トラックで運んでいた物を、飛行機や船舶で代わりに運ぶようにすることです。
モーダルシフトなどで物流業界の人手不足が解消すれば、投資対象としてのリスクも減り、不動産としての価値にも良い影響が出てくるものと予想されます。