違反建築物、って何でしょうか?
もし、自分の家が違反建築物だったら損するのか?お金を払わなければいけないことはあるのか?
もし、投資した不動産が違反建築物だったらどうすればいいのか?
この記事では、「違反建築物」が不動産の価格に与える影響を考えてみました。
目次
1.キーポイントは「建物を取り壊した方が得するかどうか」
違反建築物には様々なパターンがありますが、最も分かりやすいのは、
ことではないでしょうか。
例えば、本当は2階建てまでしか建ててはいけないのに、3階建てにしてしまっているケースです。
この場合、不動産の価格としては、どうなるのか?
着眼点として、
で、不動産の価値を考えることが大事です。
2.売買時にいくらで売れるか?がポイント
不動産の価格とは、そもそも、売買の時にいくらで売れるか?ということです。
例えば、違反建築物のまま(先程の例だと、3階建ての家)だと低い価格でしか売れない。
(例えば1,000万円だとします。)
だけど、建物を取り壊して更地化した方が高く売れる。
(例えば2,000万円だとします。)
あなたはどちらで売りますか?
もちろん高い価格で売れる方ですよね。
(上の例だと、建物を取り壊して2,000万円で売る方ですね。)
違反建築物に対して、「建物を取り壊すべきかどうか」を考えるのは、一番高く売れる方法を考えるためだからです。
3.違反建築基準には3パターンの価格がある?
では具体的にどうやって比較していくのか。
大体3つのパターンに分けられます。
・そのままの方が高く売れるケース
建物を取り壊さない方が高く売れるケースです。
3階建ての例で考えます。
2つのパターンがあります。
①違反じゃなくなるケース
3階建てにした時は違反建築物だったけど(本当は2階建てまでしか建てられない)、今は違反建築物ではなくなっているケースです。
②始めは違反じゃなかったケース
3階建てにした時は適法だったけど、その後、規制が厳しくなって違反建築物になってしまったケース。
この場合、厳密には違反ではなく、建物を取り壊すまでは適法扱いとなります。
(専門用語で「既存不適格」と言います。)
・あまり価格に関係ないケース
違反している部分が、ほんの少しだけの場合です。
無理矢理例えれは、2階建てしか建てられないところで、2.1階の建物が建っている場合です。
0.1階分の違反部分さえ直してしまえば、違反建築物ではなくなるケースです。
申請すれば適法であることを市役所などから証明してもらうことも可能です。
費用対効果で、違反部分を直してしまった方が良い場合もあります。
・価格を低くしてしまうケース
既存不適格でもない場合で、違反部分を直すために莫大な費用がかかる場合です。
このような時は、建物を取り壊した更地の状態の方が高く売れます。
通常、建物取り壊し費用の金額分は、値引き交渉されます。
4.売るつもりがなかったら関係ない?
今まで、違反建築物でもいくらで売れるか、を考えることが大事だと言ってきました。
違反建築が原因で安くしか売れないのなら、違反のまま、使い続けた方がお得?
ところが、そうは上手くはいきません。
違反が見つかったら是正しなければならないし、罰則もあるのです。
建築基準法第9条第1項において、『建築基準法令の規定又はこの法律の規定に基づいて許可に付した条件に違反した建築物又は建築物の敷地については、当該建築物の建築主、当該建築物に関する工事の請負人(請負工事の下請人を含む)若しくは現場管理者又は当該建築物若しくは建築物の敷地の所有者、管理者若しくは占有者に対して、当該工事の施工の停止を命じ、又は、相当の猶予期限を付けて、当該建築物の除却、移転、改築、修繕、模様替、使用禁止、使用制限その他これらの規定又は条件に対する違反を是正するために必要な措置をとることを命ずることができる』と規定されております。
完全に法に違反していても、特定行政庁は、是正命令は出せますが、除去や使用禁止の命令をだせないのが実態です。
軽度の違反なら、建築基準法適合性判定を行い、適法であることを証明すべきです。
(それで、晴れて適法扱いがされます。)
もっとも違反が大きすぎて、是正に費用がかかり過ぎる場合は、建物を取り壊すことを考えるべきです。
5.高く売るためには違反部分をどうするか?がポイント
違反建築物の価格を考える時は、違反部分をどうすれば高く売れるかを考えてみることです。
違反部分に何も手を加えなくてもOKなら、それが一番高く売れますし(例えば既存不適格)、ちょっと費用をかければ違反建築物ではなくなるのであれば修理しちゃえば良いです。
ただ、違反部分を直すお金が、新しく建物を建てるくらい高くつくのであれば、いっそ建物を取り壊してしまって更地化する方が、高く売れます。
注意点は、違反建築物であることがバレれば、是正を求められたりすることがあることです。
6.違反建築物=即、価格が下がる、訳ではないことに注意!
違反建築物、または違反建築物の可能性があるだけでは、絶対に価格が下がるとは言い切れません。
まずは、違反建築部分だと「思っている」部分を確認しましょう。
何を確認すればいいのか?
まずは容積率を確認しましょう。
容積率を違反している場合、価格への影響が大きいためです。
容積率を違反する、というのは、建ててもいい大きさを超えている、ということです。
価格に大きな影響を与えるのは、容積率の問題であることが多いです。
そのため、まずは、法律で定められた容積率に、今の建物の容積率が収まっているかどうか、確認しましょう。